アメリカの学校では
事務的なことから学習のツールまで
デジタルツールが広く使われている。
担任は、毎日ラップトップを教室に持ち込んでいるし、
教室にも何台かパソコンが置いてあって
子どもたちが日常的にパソコンに触れられる環境になっている。
TK(Transitional Kindergarten=幼稚園の年中)の頃から
週に一回、コンピュータークラスもある。
去年はShutterfly というサイトが
クラスのデジタル掲示板として使われていたが、
今年の担任はClassDojo という
聞いたことのないツールを使うらしい。
Back to school night のあとすぐに
担任からこのツールへの招待状がメールで届いた。
『子どもたちの前向きな行いを奨励しながら
保護者の皆さんとコミュニケーションができるツールです』とある。
さっそくログインしてみると、
娘がその日、獲得した前向きな行いへのポイントが表示された。
Respectful=(他人を)敬う言動が見られた
Cooperation=(クラスや先生に)協力的だった
Integrity=正直で誠実な行動が見られた
Perseverance=忍耐強く頑張った
など7ポイントだ。
並んだ言葉だけを見ると
なんだかとても優等生みたいだが、
実際のところはどんなエピソードがあったのか
とても気になる。
帰ってきた娘に
「ポイントをもらった時は先生からそう言われるの?」
と聞くと、
「そうだよ」
と言う。
「へえ、じゃあ何をした時に
Integrity のポイントをもらったの?」
と聞くと、
「忘れた」
ときた。
これじゃあ、ポイントを見たときのうれしさもただちに半減。
その後も何度か
獲得したポイントをもとに
学校での様子に探りを入れてみたが
「知らない」
「覚えてない」
という返事ばかり。
「これをきっかけに
お子さんとその日にあったことについて会話をしてみてください。
今日はどうだった?という曖昧な質問だと
なかなか返事が返ってきませんから」
と言われて期待していたのだが、
あっさりとその期待は裏切られてしまった。
確かに、午前中にクラスで獲得した個別のポイントのことを
アフタースクールの後、夕方6時以降に聞かれても、
娘にとってそれは遠い記憶の彼方なのかもしれない。。。
昔なら、教室内にシールを貼って競争したのかもしれないが
このようにデジタルツールを使うことで
保護者も巻き込むことができる。
私を含めて「学校での子どもの様子が分からない」
という不満を持つ親にとって
担任からの情報発信が多いのはうれしいことだが、
果たしてこのツール、
どこまでその期待に応えることができるだろうか?
うちのように結局、会話も広がらないし(涙)、
目新しさがなくなった後は
毎日見るのも億劫になってしまうという家庭も出てくるかもしれない。
そもそも、24人いるクラスの子どもたちに対して
頻繁にポイントの発行をする担任の手間も
けっこうなものでは?
実際は、ポイント実績が見れるだけでなく、
担任からのメッセージも入ってくるし、
それに対してメッセンジャーで返信することもできる。
写真もシェアできるようだし、
このコミュニケーション機能だけでも
じゅうぶんと言えなくもないのだが。。。
余談だが、このツール、
クラスの運営に悩む先生のために
元教師たちが開発したというアプリ。
無料ツールだから収入はゼロなのに、
世界中で300万人以上の先生が使っていて
10億円以上もの資金調達を済ませているという
シリコンバレーらしいベンチャーだ。
クラス内で使うツールなどは
担任個人で決められるから、
このようなツールも日本に比べて広がるのが格段に早い。
何はともあれ、
保護者と密なコミュニケーションがとりたいという
担任の前向きな姿勢は伝わってくる。
娘にもよい刺激となってくれることを期待しよう。