カテゴリー別アーカイブ: 音楽教師のボランティア

もうひとつの保護者ボランティアクラス – アート

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私が娘のクラスで音楽を教えることになったことは
前に書いたとおりですが、
実は、図画工作も
保護者のボランティアが教える
大事なアクティビティのひとつ。

カリフォルニアでは、
教育予算の縮小により
多くの学校で音楽や美術の教師を雇用する
予算が削られているのが現状。

そこで、音楽や美術については
低コストの外部プログラムが
大きな役割を果たしています。

娘の学校が導入しているのは
Art in Action という非営利団体によるアートプログラム。

オンラインなどでトレーニングを受けた
ボランティア教師(=一般的には保護者)が
教室で子どもたちを教えるというもの。

毎回、有名画家の作品の紹介から始まり、
その特徴やテクニックについて学んだあと
実際に子どもたちにも
そのテクニックを使った作品を作らせるというのが
ベーシックな流れ。

学年ごとにカスタマイズされた
カリキュラムと材料までがあらかじめ用意され、
素人でも教えられるように
トレーニングプログラムまでが組まれているなんて、
本当によくできてる。

学校側は、カリキュラムのライセンス料と材料費を
クラス単位で支払うだけでよいので、
低コストでアートクラスを提供することができるというわけ。

ボランティアの素人保護者が
学校で授業を受け持つなんて、と
当初は違和感がありましたが、
アメリカでは当たり前。

ボランティアをする親の数や貢献度合いが
教育の質を決める、と言われるのも納得です。

「うちのクラスには、
クラスの先生とママ(音楽担当の私)と
xx君のママ(アート担当)の三人の先生がいるね」
と、娘もママ先生に敬意を払っている様子。

たかが音楽、たかがアート、
勉強には関係ないかもしれませんが、
子どもの頃に豊かな感受性を育てるのは何よりも大事。

その過程に関われていると思うと
やりがいも大きい。

先日はゴッホの『ひまわり』がテーマだったらしく、
娘が描いてきた『びまわり』の絵を見ながら
そう思いました。

今日から娘のクラスの音楽の先生に

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娘のTKクラスに毎週水曜日に来ていた
外部委託の音楽の先生の授業が
春休みの前で終了しました。

「Miss xxx は明日で終わりなんだよ」
と、娘から聞いたときは
「え、まだもう一学期残ってるのに
どういう意味?」
と思いましたが、
そもそも音楽や美術など主要科目以外の授業については
PTAの集めた資金でやりくりされていることを考えると
「もう一学期分の予算がなかったのね」と納得。
(参照:公立=庶民的、と思ったら大間違い!

春休み開けの先日、いつものように
クラスルームペルパーとして教室へ行くと、
担任から声をかけられました。

「もしよかったら、音楽クラスを
引き継いでもらいたいのだけど」。

実は、これまで来てくれていた音楽の先生は、
私がボランティアで音楽を教える資格を取得した
(参照:Music Teacher Volunteer の実習)
団体(Music for Minors
から派遣されている有料講師。

そのことを担任とも話したことがあったため
声がかかったのでしょう。

私も、そのように申し出てみようかと
思っていた矢先だったので
二つ返事で引き受けることに。

さて、今日はその初めての授業。

「Miss Yumika が音楽を教えてくれるんだって」。
事前に担任から聞かされていたこともあってか、
子どもたちはおとなしく輪になって座って
話を聞いてくれます。

私も、『勝手知ったる』クラスなのでやりやすい。
正直、去年教えたひとつ年上の学年(Kindergarten)より
ずっと手がかからない。

去年のカリキュラムを引っ張り出し、
TK向けに少しアレンジしただけで準備も簡単。

娘は、
「ママが私のママってこと、みんな分かってるかな?」
と繰り返し、
「これ、私のママだよ」
とクラスの初めに皆に念を押していました。

「毎週、ヘルプに来てるから
そんなこと全員知ってるよ」
と思うのですが、
少し誇らしく思ってくれているのでしょうか?

こうして、6月の夏休みを迎えるまで
音楽教師代行を務めることになったのです。

音楽クラスのパフォーマンス

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音楽を教えているKindergarten クラスの子供たちが
その成果をお披露目する機会がありました。

昨日の夕方、その小学校ではオープンハウスという
イベントが行われました。
9月からの新入生のために学校を公開し、
施設を見学したりや先生たちと対話ができるというもので
年次の終わりを控えたこの時期、
多くの教育施設で行われています。

そのイベントの幕開けに、Kindergarten および
1-2年生の生徒たちが保護者や子供たちを前にして
歌を披露したのです。

– Rock-a my soul
– It’s a very good day

という2曲をKindergarten 3クラスで歌うことになり
ここ3週間ほど授業内で練習をしてきました。

練習といっても、Kindergarten (日本の年長さん)の子供たちに
難しいことを覚えさせるのは無理。
ひとつの曲を10分もやれば飽きがきて
収集がつかなくなるというありさまなので
歌詞とメロディーとちょっとした振り付けを覚えてもらうだけを目標にしていました。

馴染みのない歌だったので、私は最後まで楽譜が手放せなかったのですが
子供って本当に覚えるのが早い!

ほかのクラスを担当しているボランティアの先生が
昼休みなどを利用して1-2回、合同練習をしてくれたようですが
本番もとどこおりなく終了。

うれしかったのは、授業中は一番の問題児といってもよい
きかん坊の男の子が、本番中、歌や振り付けに自信がなく
観客席の端から目立たないように振り付けをしてみせていた私を
何度も横目で見て確認しては、照れ笑いをしながら舞台でがんばっていたこと。

少しは頼りにしてくれていたのね!

私の授業は来週が最後。
けっこう手のかかるクラスで、かつ私も初体験、
スムースに行ったとはおせじにも言えませんが
今日のパフォーマンスを見て、
やってよかったと思いました。

来期はどの学年、どのクラスになるか分かりませんが
続けてみようと思っています。

童謡『こぶたぬきつねこ』をクラスで

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近所の小学校でボランティアで毎週教えている
Kindergarten の音楽クラス。

年齢ごとにクラスで使える歌や
リズム、音楽理論などに関連するアクティビティの
リストをトレーニングでもらっていますが、
実際は何を教えてもかまわない、ということになっています。

このへんのゆるーいルールがアメリカらしいのですが、
だめだと言われたのはアイドルのヒットソングぐらいでしょうか。

音楽のジャンルについても
童謡やフォークソング(昔から歌い継がれているその当時の生活や
人々の気持ちを歌ったもので、作者不詳のものが多い)、
クラシックはもちろんですがジャズやブルースなどについても
紹介してよいことになっています。

また、外国の歌も大歓迎で、
むしろ耳で聞き覚えられる子供のうちに
積極的に外国の歌を紹介するよういわれていました。

クラシックはともかく、ジャズやブルースは
どう取り入れたものか、私にも良いアイデアがまだ思い浮かばないので
外国の歌の一環として、日本の歌をやってみようと思い立ちました。

まったく日本語の分からない子供たちに教えるのだから
歌詞がシンプル、メロディも覚えやすいもの。。。。
と考えていたら、ある日、娘の日本の童謡のCDから
『こぶたぬきつねこ』の歌が流れてきました。

これだ!

こぶた たぬき キツネ ねこ
ブブブ ポンポコポン コンコン ニャオ

http://www.youtube.com/watch?v=hkqSZM0gISQ

歌詞はこれの繰り返しだけ。
言葉の意味も説明しやすいし、日英で鳴き声が違うというのも
子供にとってはおもしろいはず。
(ブブブ=oink、
 ポンポコポン=アメリカではタヌキの出す音は誰も知りません、
 コンコン=キツネの鳴き声もあまりポピュラーではないようです、
 ニャオ=meow)

さらに、これは『エコーソング』と言って
誰かが先導した言葉とメロディをみんなで追いかければよいので
(こぶた、と先生が歌ったら、こぶた、と生徒たちが同じように歌う)
歌詞が外国語でも比較的覚えやすい。

その上、音楽的に見ても、長調と短調を学ぶことができます。
(娘のCDでは、何度目かの繰り返しは短調になっています)

こんなにいい教材はない、と意気揚々とクラスへ。

そうしたら。。。
子供の耳って思っていたよりすごい。

こぶた たぬき キツネ ねこ
は、ほとんど正しい日本語で(アメリカ人特有のアクセントなし)
発音できてしまいました。

ブブブ ポンポコポン コンコン ニャオ
は、『ポンポコポン』がちょっと早口言葉のようで
難しかったようですが、こちらもほぼOK。

2回目にはほぼ完璧に私について歌うことができました。

長調と短調については、本当は『Major』と『Minor』というのですが
これは教えずに『Happy』と『Sad』で歌い分けたら子供たちは大喜び。
長調はニコニコ顔で、短調は泣きまねをしながら歌うのです。

いつもこうやって子供たちの興味を惹ける
クラスばかりではないのが現実ですが、
このように子供たちと波長がバッチリ合ったときは
何ともうれしいものです。

この瞬間を支えに、先生たちは仕事をしてるんでしょうね。

担任の先生とボランティア音楽クラスの振り返り

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10月からボランティアとして教えているKindergarten の音楽クラス。

MFM(Music For Minor= ボランティアの音楽教師を派遣するプログラムの主催団体)から、クラスの担任と振り返りを行うよう連絡があり、今日はクラスのあと、もう一人のボランティアも一緒に3人でミーティング。
全体としては、満足していただいているようでこちらもほっと一安心でした。

ちなみに、担当しているKindergarten は英中2ヶ国語教育を行っている公立小学校に併設されていて、家庭で中国語を使っている子供もそうでない子もいますが、授業はすべて英語または中国語で行われています。

担任の先生は白人ですが中国語がペラペラ。
教室の中も、2ヶ国語で書かれた展示物や単語表がいっぱい!
そんな環境ならではのフィードバックもありました。

-2人のボランティアが異なったカリキュラムで授業するのはバランスが取れていてよい
 (私はいわゆる音楽理論や音楽鑑賞、リズムの学習などが中心、もう一人はアメリカの童謡や中国語の歌中心)

-年齢のせいもあって、子供たちをまとめるのが一番大変だが、かといって子供たちもまったく聞いていないわけではない。
 たとえば授業中一番うるさい男の子も、クラスで習った歌を外でよく歌っている(意外!)

-音楽は言語と同じで、繰り返し聴くことで頭に残っていくもの。
 四分音符はWalk、八分音符はRun、など”学んでいると気付かないうちに学んでいる”ような仕組みに内容になっているのがよい(MFM講習のたまもの)。
 これは音楽教育の中でも有名なスズキメソッドに通じる(http://www.suzukimethod.or.jp/about/

-今はともかく、大きくなってから”この歌は音楽のクラスで習ったなあ”と思い出せるような記憶がきっと残るはず。
 それだけでも有意義

実は、彼自身も高校生に音楽を教えたことがあるそうで、音楽教育にはいろいろ思いがあるようです。
そんな彼の前でボランティアの立場で音楽を教えるのは少し恥ずかしい気もしますが、喜んでもらえているならやり甲斐があるというもの。

生徒が下校して静かになった教室を見ながら、”教師”という仕事の醍醐味を少し味わったような気になりました。