月別アーカイブ: 5月 2018

NYC母娘二人旅(3)-Broadway & Statue of Liberty

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3日目)ブロードウェイ・ミュージカル
今日は、NYC旅行のメインイベントでもある
ミュージカル”Aladdin” を観に行く日だ。

1年生の時から毎年、
放課後のスクール・アクティビティの
ミュージカルに参加している娘だが、
その指導をするディレクターはいつも
子どもたちにこう言って聞かせている。

“We strive for almost Broadway quality!”
(ブロードウェイばりのクオリティを目指そう!)

そして彼女の娘は、
現役でブロードウェイのミュージカルに出演中という。

そんなわけで、ブロードウェイ・ミュージカルは
娘にとって特別だが身近な気もする存在なのだ。

グラミー賞をとった”Hamilton” か、
話題になっている”Lion King” か、と何を観るか迷ったが、
馴染みのあるものがいい、と
娘が去年出演した”Aladdin” に決めた。

そのキラキラの派手な衣装や
歌や踊りの完成度にももちろん惚れ惚れしたが、
観客を巻き込むアドリブやトークの軽快さは
ライブでならではの高揚感をもたらしてくれる。

映画やトークショーなどでは特に
文化的背景やスラングなどを100%理解できず
観客と同時に笑えないこともまだまだ多い私だが、
今回は、娘がさんざん家で練習していた演目だということもあり
音楽からストーリーまでほぼ完璧に頭に入っていたので、
そのエンターテイメント性をリラックスして楽しむことができたのもよかった。

娘も、小さな声で一緒に歌ったり
「私がやった役は、あの赤い衣装の女の子だよ」
「この場面は、私たちのにはなかったね」
などと言いながら
食い入るように舞台を見ていた。

そんな娘を見ながら、アメリカでは
ミュージカル俳優になりたいという夢が
スポーツ選手や歌手、宇宙飛行士などと同じぐらい
ポピュラーなのもうなずける気がした。

4日目)自由の女神
自由の女神を訪れるのは
娘にとっても私にとっても初めてだ。
NYCは何度か訪れたことがあるが
なぜか機会がなかった。

2001年のテロ以降、クラウン(女神の冠の部分)への
アクセスは禁止されていたが、
2009年に一般公開が再開された。

ただ、クラウンアクセスのできる人数には限りがあり、
事前に予約をしておく必要がある。
予約は公式サイトでしかできないのだが、
見てみるとチケットはなんと7月ごろまで売り切れ。

クラウンまで登って
トーチを近くから見てみたい、と楽しみにしていた娘(と私)だったが
博物館のある女神の足元の台座までの入場で
我慢してもらうことになった。

自由の女神についても
学校で少し勉強したことがあるらしく、
女神がフランスから贈られたことや
“The New Colossus” という女神にまつわる詩についても
娘はちゃんと知っていた。

1800年代後半に進められた『自由の女神建築プロジェクト』は
長期間にわたる困難なものだったようで、
その詳細を博物館で知り、女神への敬意が大いに増した。

フランスで100人以上ものアーティストが加わって
女神のパーツを分担して作り、
5年後に組み立てが完成した女神はいったんパリで展示されたこと。

その後、再度、パーツに分解されアメリカに船で送られたこと。

アメリカでの組み立ては主に移民によって行われたこと。

かなりの重さの女神を支える内部の骨組みについては
あのエッフェル(エッフェル塔を作った建築家)が指揮をとったこと。

様々な理由から、女神の建築に関してのアメリカでの世論はネガティブで、
資金調達に苦労したこと。

自由の女神はそんな歴史をくぐり抜けてこその
アメリカのシンボルなのだ。

誰もが訪れるNYCの観光名所めぐりが中心だったが、
娘のおかげで一つ一つの魅力やその背景を
より深く知ることができたような気がする。

娘も、アウトドアだけでなく
文化や歴史を堪能する旅行も一緒にできる歳になったのだな、
と少し感慨深い想いで1週間の旅を終えた。

NYC母娘二人旅(2) – MET & WTC

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1日目)メトロポリタン・ミュージアム
モダンアートにあまり造詣の深くない私は
MOMA ではなくメトロポリタン(MET)美術館に
娘を連れて行くことにした。

娘が飽きてしまわないよう、
まずは彼女でも親しみのある画家の作品がある
フロアを目指す。

特にゴッホについては、その生涯や
代表的な作品についても学校で教わっていたので
娘も熱心に見ていた。
ギフトショップでは
ゴッホの作品がまとめて塗り絵になったものが売られていたので
それを購入。

それを見た妹が
「そんなにゴッホが好きなら、帰ったら
Loving Vincent(ゴッホの最後の手紙)の映画を見ようよ」
と言うので、その夜は家でゆっくりNetflix で映画鑑賞をすることに。

Loving Vincent は、久々に心に残る映画だった。
彼の絵画をアニメーション仕立てにしたもので
『どうしてゴッホは死んだのか』を探るストーリー。
結局、自殺だったのか他殺だったのか分からずじまいだったが、
原色が中心の明るい色の絵画とは裏腹に
ストーリーは悲しいものだった。

絵の教育を受けたこともなく
本格的に描き始めたのは28歳頃であったこと、
37歳で亡くなるまでに描いた2100枚のうち
存命中に売れた絵はたった1枚だったことなど、
不幸な画家とは知っていたが
天才と呼ばれるゴッホの人生について
改めてしみじみと考えてしまった。

将来はアーチストになりたいという娘に
こんな夢も希望もない映画を見せてよかったのだろうかと
思ってしまうぐらいだったが、
娘はその後、ごそごそとゴッホの塗り絵ブックを出してきて
夢中で色を塗っていた。

2日目)ワールド・トレード・センター
2001年の9・11同時多発テロ事件の跡地にできた
新生ワールド・トレード・センターを訪れた。

小さな子どもを持つアメリカの親たちや学校などは、
精神的な影響を考えて
9・11同時多発テロ事件をはじめ
昨今立て続けに起こっている銃乱射事件などについては
口にしないのが暗黙の了解だ。
ダンナにも、出かける前に
娘の前では9・11事件について触れないよう
固く口止めされていた。

なので、悲惨な写真や事故現場から見つかった遺品などの展示がある
9・11メモリアル・ミュージアムへの入場はあきらめ、
メモリアル・パークの散策だけにとどめた。

あとかたもなくなったWTCの2つのビルの基礎のあった場所が
そのままメモリアル・プール(噴水)に生まれ変わり、
その壁には被害者の名前が延々と刻まれている(写真)。

娘は、ビルの工事に関わった人たちの名前とでも思ったのか
「なんでお花が置いてあるの?」
と明るく聞いてきたが、
「噴水にコインを投げ込むのとおんなじだよ」
と答えると、とりあえず納得したようだった。
なんとかうまくかわせたようだ。。。

ミュージアムに入場すれば違ったのかもしれないが、
訪れてみた感想は
『クールでモダンな新しいエンターテイメント・エリア』だ。

WTCの駅ビルは、高級ブランドや流行りのショップが入った
にぎやかなショッピングモールに生まれ変わり、
その西側にもハドソン川に沿って
きらびやかなオフィス&レジデンス&ショッピング・コンプレックスが
優雅に構えている。

クリーンでモダンに再生したメモリアル・パークを歩きながら
あの惨事をもモノともしないアメリカの強さを見た思いがした。