月別アーカイブ: 3月 2016

祝初舞台!Beauty and the Beastのミュージカル(美女と野獣1)

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11月から練習が始まった
課外活動のミュージカル”Beauty and the Beast”
娘は週に3回、放課後の練習に欠かさず参加してきたが
いよいよ先週末が本番だった。

結局、直前に怖気づき
主役のベルのオーディションは受けることなく、
『その他大勢の村人』と
森の中でベルたちを襲う『狼たち』の役となった娘だが、
そんなことを気にする風もなく
練習の後は毎回、意気揚々と帰ってきた。

「ガストン(野獣とベルを取り合うことになる
村のハンサムボーイ)の役をやるL君って
ハンサムなんだよ」

「ガストンは筋肉隆々じゃないといけないから
衣装の胸とか腕のあたりが膨らんでいる衣装なんだよ」

「戦うシーンでは、ガストンが野獣の
お尻をキックするんだよ。笑える!」

など、ガストンの役に選ばれた
お気に入りのL君の話ばかり聞かされていたが、
ちゃんと練習はしていたようで
3月に入った頃には自分の役だけでなく
全ストーリーの歌と踊りをほとんど覚えてしまっているようだった。

最終週は、金〜日曜日の本番に向けて
会場となる市内の中学校の体育館で
月〜木曜まで毎日リハーサルが行われた。

「病気でも学校を休んでも、死んでない限りリハーサルを休んじゃいけないんだって」
と、インストラクターの脅しを真に受けている。

「衣装の下に着る黒いシャツとレギンス、
靴下とバレーシューズは絶対、真っ黒じゃないといけないんだよ。
グレーとか模様が入ってるのはダメだからね」。

親の言うこともこのぐらい聞いてくれるといいのだけど。

それでも、前日の夜は急に不安になったのか
涙目でこう言ってきた。

「リハーサルで狼の衣装に着替えるとき、
着替えが間に合わなくて舞台に上がれなかったの。
本番で間に合わないと困るから着替えを手伝って」。

あんなに楽しそうにしていたのに
やっぱり直前になると少しは緊張するらしい。
これもいい経験。

「大丈夫。ディレクターにちゃんと言って
手伝わせてもらえるようにするね」。

そして、初日の金曜日。
5時半に会場入りすると、
控え室(中学校の運動部員の更衣室らしい)で
役者たちが着替えたり化粧をしたりしている。

「これから最終リハーサルをします。
子どもたちの気が散るので親は会場から出て行ってください」。

なんだ、ちょっと拍子抜け。
リハーサルの様子を観察できると思ったのに。

近所にあったStarbucks でダンナと時間をつぶして
開演時間に会場に戻るとかなりの観客で混雑していた。

そして7時。
オープニングの音楽が鳴り始めた。

一年生ぐらいなら、普段はもうすぐベッドタイムという子どももいるだろし、
こんな時間から始まるミュージカルに出演するというだけでも
『うちの子も大きくなったなあ』と
妙に感慨深い。

幕が開くと、そこは村人たちが集うシーン。

ちゃんと腕を組むポーズをとって微動だにせずに立っている娘がいた。
まだ始まったばかりだというのに
なんだかもう胸がいっぱいになってきた。
次回へ続く

処方してもらったタミフルが薬局にない(アメリカの医療システムはこうなっている-2)!

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小児科医から娘のインフルエンザの薬
タミフルを処方してもらい、
いつもの薬局へ取りに行った。

処方せんはすでに医者からネットで送られているから
もう用意できているはず。

窓口で名前を告げると
「ありませんよ」。

「ありませんって、まだ処方せんが届いていませんか?」
「いや、処方せんは届いてますけど薬がありません」
「ないって在庫がないんですか?」
「そうです。75mgならありますけど45mgはないので、発注して明日の入荷になります」
(大人用ならあるけど子ども用はないってことね。。。)
「え、でも明日じゃ遅いんですよね。他のお店ならはありますかね?」
「あるかもしれませんけど。。。」
「分かりました。じゃあ、発注はしなくていいです」

医者によると、発症から24時間以内に飲まないと
効果が薄れてしまうらしいから、明日まで待ってなんていられない。

この家に引っ越す前に行っていた薬局にならあるかも、
と電話をかけてみた。

「45mgはありませんね。発注になります」
(え、マジですか!)
「さっき行った店にもなかったんですけど、
同じチェーンの他の支店で在庫あるところはありますかね?」

そう、アメリカの薬局はほとんどが大手の全国チェーン。
病院のすぐそばに必ずこじんまりとした個人経営の薬局が佇んでいる
日本とはまったく勝手が違う。

うちの近所にも3大チェーンの支店があちこちにある。
チェーンRにはなかったが、
チェーンCのどこかにはあるだろう、と思ったのだ。

すると、
「他店の在庫は見れない決まりになっています」。

そんな!
面倒くさがりの担当が嘘をついているに違いない、とも思ったが、
先行きが明るくないことを漠然と悟った私は
ネットで近所の薬局の電話番号を調べ、
片っ端から電話してみることにした。

チェーンCの別の支店に電話して
やはり在庫がないと言われると
「他の支店にどこかありますかね?」
と、一か八かまた聞いてみた。

すると、
「他店の在庫はこちらからは見られないんですよ。
困っている時に申し訳ありません」。

こちらはフレンドリーな対応ではあったが、やっぱり同じだ。
薬局業界にどんな決まりがあるのか知らないが
今は、とやかく文句を言っている場合ではない。

チェーンWに電話してみることにした。

「75mgならありますけど、45mgはないですねえ」
「他の支店にどこかありますかね?」
と、素知らぬふりでまた聞いてみると
「ちょっと待ってくださいね。調べてみます」。

やった、引っかかった!

この店員がルールを知らなかったのか
チェーンによってルールが異なるのか分からないが、
同じことを聞いても担当者によって答えが違うのもアメリカの常識。
やっぱり聞いてみるものだ。

「San Carlos の店に1つだけあるみたいですよ」。

よかった!
San Carlos ならうちから10マイル(17km)ぐらいだから
そんなに遠くない。

「処方せんがチェーンRのxx支店に送られているんですけど
そちらから電話していただかなくてはいけないんですよね?」
「そうです。それが転送の時の決まりですから。
その店の電話番号を教えてください」。

一旦どこかに送られた処方せんを
別の店に移すときは、移される側から連絡を入れる必要があるらしい。
これも薬局業界のルールなのだろう。

そんなことを考えながらも
私は速攻で車に飛び乗り、その店へ向かった。

「タミフルの45mgですね。用意できてます。$120です」。

私の聞き間違いだろうか?
タミフルというぐらいだからジェネリックではないのだろうけど
たかがインフルエンザの薬だぞ。

「あの、保険効いてますよね?」
「ええ。保険がなければ$190ですから」。

薬の値段も製薬会社の言いなりだから仕方ないのだろうが
なんとも足元を見られている気分だ。

自宅に戻り、薬が苦いと言って飲もうとしない娘に
「$120もするお薬なんだからね!」
と、つい文句を言ってしまった。

すぐに医者に診てもらえ、
このエリアに1つしか残っていなかったタミフルを入手できたのはミラクルだが、
アメリカのカスタマーサービスと医療システムの不条理に振り回された一日だった。

今回学んだこと。
インフルエンザの予防接種は毎年、忘れずに受けること。

(ちなみに、その数日後、小児科で受けたインフルエンザのテスト料金
$7の請求書もきちんと送られてきた)

娘がインフルエンザに(アメリカの医療システムはこうなっている-1)!

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ダンナが風邪で数日前から寝込んでいたその日曜日の夜、
娘も熱を出した。

月曜日の朝、熱を測るとなんと104度(華氏)。
摂氏では40度だ。
風邪だろうと放っておくにはちょっと危険な高熱。
ダンナの様子を見ても、インフルエンザ感染の可能性が高そう。

すぐに小児科に電話をした。

そう、アメリカの病院は基本、全予約制。
体調が悪いといって、ふらっと病院に立ち寄っても見てもらえない。
電話をしても、当日の空きがなければ診察は翌日以降となる。

しかも、かかりつけの医者をあらかじめ決めておく必要があり
それ以外の医者に一見さんで見てもらうことはもっと不可能だ。
『現在、新規患者は受け付けておりません』
なんて医者もざらにいる。

じゃあ、かかりつけの医者に診てもらえない時は
どうしたらいいの?

急患専門のUrgent care クリニック(命に関わるほどではない急患向け)か
Emergency Room(命に関わるような救急患者専用。TVでも有名なERですね)に
行くしかない。

これらは通常、ひどい混雑ぶりで何時間も待たされるのが普通。
それなのに救急料金が加算されて膨大な治療費となるため
($100〜数百ドルは覚悟)、ちょっと我慢すればすむことなら
やっぱりかかりつけの医師に相談するのが一番なのだ。

というわけで、「どうか今日、診てもらえますように」と祈りながら
かかりつけの小児科に電話をしたのである。

「2時半なら空いてますよ」と、当日に診てもらえることになった。
ラッキーだ。

「インフルエンザの感染テストをしますか?
保険適応になるか分かりませんが」と、顔なじみの女医先生。

「もちろんです」
「結果が出るのに20分ぐらいかかりますので、
結果が出たらお電話します」。

というわけで、診察はあっという間だった。

日本のように診療報酬がほぼ公定価格で、保険適応率も一律と決まっているわけではないから
治療費は医師や加入している健康保険のプランによってバラバラ。
医師や医療保険会社のいいなりに料金を払うしかないのだ。

子どもの医療費は市町村が負担なんていう気の利いた制度の話を
アメリカ人が聞いたら目が点になるだろう
(これは人口政策にも関わるので、医療システムの話とは異なるかもしれないが)。

うちの加入している保険では、
かかりつけの医師による一般的な診察なら一回$45となっている。
ただし、医師がさっき言ったように
診察以外の検査やテストをした場合は追加料金になることも多く、
あとで追加請求が来ることもよくある。

自宅に戻ってほどなく、先生から電話があった。

「インフルエンザA型が陽性と出ました。
特効薬はタミフルですが、どうしますか?
発症して24時間以内なら、症状を緩和できるとは思いますよ」。

タミフルね、日本では使用が問題視されているらしいけど
アメリカではそんな話は聞かない。
先生が勧めるのだし、高熱でさすがにおとなしくしている娘を
放っておくのも忍びないので処方してもらうことにした。

「では、いつもの薬局に処方箋を送っておきます」。

一部の規制の厳しい薬品以外は
このように医師が直接薬局へ処方箋をオンラインで送るのが普通。
この点はデジタル化の進んでいるアメリカのいいところだ。

シーズン前にインフルエンザの予防接種を受けさせるのをすっかり忘れ
罪の意識を感じていた私は、
これで「事なきを得た」とホッとできるはずだったが。。。

続きは次回へ

個人情報の問題ではなく、教育を受ける権利の問題だった

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娘のクラスで問題になっているあること、とは。。。

クラスメートのM君のことである。

体が大きくヒスパニック系のM君は、
朝からみんなと一緒に席に座らないで
教室の後ろに置いてあるコンピュータを使って
アシスタントの先生と一緒にいつも何やらやっている。

ここ最近、娘から彼の話を聞くことが多くなった。

「今日ね、M君が先生の顔を叩いたんだよ」
とか、
「M君はね、みんなとちょっと考えることが違うんだって
(He thinks differently.)」
とかだ。

事件が起きるたびに
担任の先生は、彼をなだめたり
場合によっては親を呼び出す必要があったりして
その間、ほかの子どもたちは自習をさせられていることも多いのだとか。

そのようなことが最近、立て続けに起こったこともあり、
保護者たちの間で、
「担任の目が他の子どもたちにじゅうぶんに届いていないのではないか?」
という声が上がっているのだ。

M君がどのような心身の問題を抱えているのかは
私たちには分からないが、
そのように標準のクラスに馴染めない子どもは
特別な担任をつけ、特別な授業を受けるのが本人のためではないのか、
というのが一般的な意見だろう。

アシスタントの先生が面倒を見てくれているといっても
彼女も学校中の複数の子どもたちを見ているわけで
常にM君につきっきりというわけにはいかない。

担任の注意や労力の多くがそのような子に向けられているとしたら
ほかの子どもたちの機会損失にもつながり
親としても気になるのは当然だ。

さて、先の訴訟問題だが、これは
このような現状を認識していながら何の手も施さない州の教育委員会に対して
特別なケアが必要な子どもたちの親が訴えを起こしたもの。

娘のクラスの現状を考えると
特別なケアを必要とする子どもたちにとってだけでなく
実は、クラスの他の子ども達にとっても関わりの深い問題なのだ。

なのに、テレビや教育委員会、強いてはPTAから伝わってくる情報は
「個人情報が流出の恐れ。お子さんを対象から除外してもらうために
裁判所へ反対表明のレターを提出しましょう」
という論調のものばかり。

教育委員会がメディアやPTAのネットワークを利用して
世論を扇動でもしているのだろうか、と
思っていたところにこんな記事が出た。

『教育委員会は、教育を受ける権利の問題を個人情報の問題にすり替えてようとしている。
きちんとした事実に基づいて判断しましょう』

やっぱりね。
体制やメディアを盲目的に信頼できないことは分かっていたが、
こうやって私たちは常に不確かな情報に踊らされているのだな、と
改めて思い知らされた。

そして、自由の国アメリカ、
その中でももっともリベラルなカリフォルニアでも
やっぱり体制に逆らうのは大変なのだと。