1年遅れの思春期トーク(Puberty Talk)

標準

5年生の終わりに実施予定だった
思春期トーク(いわゆる性教育)。

コロナで在宅授業になってしまったため、
市内の学校すべてでこのカリキュラムが
延期になってしまっていた。

娘は、「気持ち悪いし、やらなくてすんでよかった!」
と喜んでいたが
学校でやってくれるならそれに越したことはない、
と思っていた私は
「いつになったらやってくれるんだろう」と
ずっと気になっていた。

12月になって、教育委員会からようやくメールが届いた。

『来学期に、在宅学習用にアレンジした思春期トークを実施します。
サイエンス授業の一環として行い、
7−8年生向けのティーントーク(Teen Talk)を念頭において
以下の内容をカバーします。

・思春期と心身の変化
・心身の健康の維持
・ボディ・イメージについて
・性の同一性
・同意について
・受精と妊娠
・AIDS/ HIV

カリキュラムの概要はこちら』
と、パワーポイント(写真)のリンクまでついていた。

プレゼンテーションは
イラストや写真を多用した300ページほどの
かなりボリュームのある内容で、
ディスカッション項目や
ケーススタディなどを取り入れ
かなりていねいに作り込まれている。

思春期と心身の変化や妊娠などに関する
サイエンス的な情報については予想した通りだったが、
『性の同一性』や『同意について』は
リベラルなこのエリアならではだろうな、と
ちょっと感心した。

性の同一性とは
あちこちでさかんに語られている
自分がどちらの性に属するか、という
アイデンティティの問題で、
同性愛のことについてまで広くカバーされている。

日本で性同一性障害などと
何かその人に問題があるように語られているのに比べると
かなり許容性があるといえるだろう。

(注:アメリカでも保守的な信条を持つ人や
そのような人の多いエリアでは、この限りではない)

娘も、小学校の頃から
「xx 君は、男の子が好きなんだって」とか
「○○ 君はね、女の子といつも一緒に遊んでて
しゃべり方も女の子みたいだし、マニキュアもよくしてる」とか
当たり前のように話していた。

私たちも
「あ、そうなんだ。そういうことは恥ずかしいことではないし
隠さずに言えることっていいことだよね」と
大げさなリアクションはしないように気をつけている。

テレビ番組やオンライン・コンテンツにも
そのようなキャラクターが頻繁に登場するようになった昨今、
少なくとも娘は、授業を受ける前からある程度の理解はあったようだ。

アメリカらしいな、と思ったのは
『同意について』だ。

これは、ハグなど相手の体に触れたり
相手との物理的な距離感(立ち位置)の保ち方について
相手の同意(Consent)を求めるように促す内容。

もちろん、近い将来に直面する
交際相手との関係を見据えてのことで、
相手に自分の意思をはっきり伝えることと
それを尊重することの重要さを強調している。

私が見ていても思うが、
アメリカの子どもは心身ともに成長が早い。

遺伝とか食習慣とか、理由はいろいろ語られているが、
12歳ともなると私より体格のいい女の子がザラにいる。

精神面でも、
自己責任において自由に行動させることを推奨するカルチャーとあわさって
男女交際の始まる時期は早く
その付き合い方も大人顔負けだ。

あまり考えたくはないものの、
無知なままそんな世界に飛び込ませるよりは
ある程度の知識と常識は持たせておくに越したことはない。

そういうわけで
対面授業が再開される前に
思春期トークがやっと実施されると聞き、
ほっとしたのだった。

(次回に続く)

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