月別アーカイブ: 11月 2015

「単身赴任なんてやってるから日本人夫婦は終わってる」

標準

私が仕事でお世話になっている日本人駐在家庭が、
年末で日本に帰国されることになった。

よ〜く話を聞いてみると、
ご主人の任期はまだ終わっておらず、
奥様と3人のお子さんだけ先に帰国されるのだそうだ。

その話をダンナにしたところ、議論が白熱。

「何で奥さんと子どもだけで帰ることにしたわけ?」

「一番上のお子さんが有名私立小学校を休学して来ていて、
中学に進学するには12月末までに帰らないといけないらしいよ」

「え、そんな理由?」

「っつーか、せっかく受験して入った有名私立だから
その籍を失ってしまうってのはもったいないっていうのも分かるよ」

「だって、アメリカの学校に進学できる英語力もじゅうぶんついただろうし、
何も日本のその有名私立とやらに固執する必要はないんじゃないの?」

「アメリカの大学にも日本の大学にも行けるっていう
両方の選択肢がある方がいいでしょう」

「そもそも、今さら日本の大学に行くとかいう選択肢ってあるわけ?」

「(それはいい質問だけど)
そりゃ、あるでしょう」

「アメリカの方が、いい大学いっぱいあるよ」

「そう言われればそうかもしれないけど、
まあ、選択肢は多い方がいいじゃん」

「でも、日本の大学なんて世界ランキングではたいしたことないし、
単身赴任までして選択肢として残す価値があるのかね?」

「(ごもっともだが、日本人としてはちょっとムカつく)
まあ、子供の学校のために旦那さんだけ単身赴任している
家族はごまんといるよ」

「家族でちゃんと生活する方が
よっぽど子供の教育のためにはいいと思うけどね」

「(痛いとこを突いてる)
そりゃ、理想はそうだけど、
場所によってはやっぱりついていけないってこともあるでしょ」

「だったら旦那さんが新しい仕事を探してでも
そこに残れるようにするのが普通じゃないの?」

「そう簡単に転職できるとも限らないし」

「学校を変えられない、塾を変えられない、仕事を変えられない、
だから家族がばらばらに生活するのがベストっていう考え方だから
日本人夫婦は終わってるんだよ。
それこそ仮面夫婦ってやつでしょ」

ダンナは、どこかのネットニュースで覚えたらしい
仮面夫婦という言葉を使ってきた。

仮面夫婦かどうかは別として、
私も日本の受験事情や
そのために家族や子供の生活のクオリティが失われつつあるのには
強い反発を感じているし、変える必要があると思っているが、
一朝一夕には変わらない現実の中で
悩みながら単身赴任の決断をする家族のことも分からないわけでもない。

だが、ダンナにはどう説明しても伝わらない。
日本人の夫婦には愛がないってことになってしまう。

確かに、身の回りを見渡しても、
ロスなど飛行機で1時間ぐらいのところなら日帰りで長距離通勤をしたり、
(うちのダンナが昔やっていたように)週中だけ泊りがけで遠距離通勤し、
週末には帰ってくる、という工夫をしている人はたくさんいるが、
完全に単身赴任、というのは滅多に聞かない。

離婚率は高いが
家族としておさまっている間はけっこう絆を大事にするのが
アメリカ流なのだ。

愛情の問題か、受験制度の問題か、
「仕事も受験も、なんとかなる」というチャレンジ精神の有無の問題か、
はたまたそれらすべての問題か。

家族のあり方にもお国柄がよく表れている。

過剰消費と過剰出費について考えさせられるバースデーパーティ

標準

photo

子どものお誕生会がいかに派手に行われているかは
これまでも何度か書いてきたが、
先週は初めてアイススケート場でのお誕生会に呼ばれた。

お誕生会といえば
主流はインドアの子供専用パーティスペースで行われるもの(Bounce House Party)、
子どもが習い事をしている場所でアクティビティを楽しむもの(道場での誕生日パーティ)の
いずれかだが、今回も主役のAちゃんがアイススケートを習っている
スケート場を借り切ってのパーティだった。

暖かいカリフォルニアでアイススケートというのは
イメージしづらいかもしれないが、
子どもの習い事としては意外とポピュラー。
水泳、器械体操、サッカーに次いで
女の子には人気のスポーツといってもいいかもしれない。

さて、アクティビティが含まれるパーティでは
お誕生会だからといって着飾って出かけるわけにもいかず、
今回もスキーパンツに手袋、ヘルメットまでかぶって参加することに(写真)。

会場では、最初の1時間にアクティビティを楽しみ
(インストラクターが付いていることが多い)、
そのあとの1時間でピザ&ケーキのお祝い、というのが普通だが
このリンクの貸し切りは90分。

うっかり2時間と思っていたAちゃんのママはあたふた。
スケートの時間を短めに切り上げて
あわててお祝いをすることになってしまった。

「あれだけ払ってるのに90分しか使えないなんて。
しかもパーティはすべて自分で持ち込み、
準備の時間も15分しかくれないし、片付けはパーティの時間に込みだから
バタバタなんてどころじゃないわ」
と、ちょっと不満そう。

こちらが片付けを始めた頃には
もう次のパーティが来て待っている。
なんだか生産工場のオペレーションみたいだ
(私はそれが嫌いで、娘のお誕生会には
そのような施設を利用しないことにしている)。

ちなみに、お誕生会の費用はざっと300〜500ドル以上。

パーティ会場費が招待客(子ども)一人当たり20〜30ドル、
(習い事のスペースでは10〜20ドル)、
これにケーキやピザ、飲み物、Goodie Bag(手土産の小袋)を自前で調達。
クラスメートの大半(20人以上)を招待するというのが主流だから
合計するとそこそこの金額になる。

子どもの誕生日だからといって、決してあなどれないのだ。

ところで、私が大勢のお友達を呼んで
お誕生日会をするのに消極的な理由がもう一つある。

プレゼントだ。
20人のお友達を呼んだら、20個のプレゼントをもらうわけだが、
そのほとんどは本人の希望とは関係なく
もらってもほとんど使わないままどこかに紛れ込んでしまうものも多いはずだ。

これではモノを大事に使うという気持ちは育たない
(まあ、収納スペースがないというのも本当のところだ)。

Aちゃんのママは、
「こんなのを当たり前と思わせるのはいかがなものか、よね。
半分ぐらいをいただくことにして、あとの半分は
恵まれない子ども達への寄付にでも回すことにするわ」
と言っていたが、
そこまで割り切れない私は
だったら初めからプレゼントを山のようにもらわずに済む(!)
方法を考える。

その結果、去年も今年も
お誕生日会の代わりに家族旅行に出かけることになったのである。

アメリカのお誕生日カルチャーにはすっかり慣れてしまったが、
それでもお誕生会に呼ばれるたびに、
娘の誕生日が巡ってくるたびに、
いつもこんなことを考えずにはいられない。。。

娘の成長を垣間見たハロウィーン

標準

IMG_7627

10月30日、ハロウィーン前日の午後、
小学校で恒例の仮装パレードが行われた。

この日は真夏のような陽気となり、
運動場で仮装してパレードを待っている子どもたちは
みんな赤ら顏で不機嫌そう。

クラスメートと並んで座っていた娘を見つけて
「一人で着替えられたの?似合ってるじゃん」
と声をかけると、
「話しかけないでよ。あっちに行ってて」
とつれない。

「なんで?暑くて気分悪くなった?」
と聞くと、
「ベイビーに話しかけるみたいな話し方しないで」
と小声で言う。

え、子ども扱いするなってこと?

いつもは
「私、大きくなりたくないな。
いつまでもママの赤ちゃんでいたいな」
と甘えている娘がそんなことを言うなんて、と
ちょっと耳を疑った。

家に帰って聞いてみると、やっぱりその通りだった。

「他のママたちだって、みんな声かけに来たでしょ?」
「でも、一人で着替えられたかなんて聞かないよ。
そんなの、小さい子みたいじゃん」
だって。

TK(Transitional Kindergarten)、K(Kindergarten)のときは
パレードは朝イチ、登校時にやっていたが、
1年生になった今年からは昼休みの後、
最上級生までのお兄さん、お姉さんたちと一緒にやることになった。

だから、自分は上級生グループに入っているという
気構えのようなものがあったのだろうか?

なんだか頼もしいような少し寂しいような複雑な気分。。。

そんなことを考えていると、今度は
ハロウィーン当日(翌日)のことについて
こんなことを言ってきた。

「明日は、LちゃんとTrick or treating に行くからね」。

お菓子をもらいに歩き回るTrick or treating については
3つほどのプランがあり、まだどうするかはっきり決めかねていた。

1つ目は、学校こそ違うけれど大親友のAちゃんと、
Aちゃんちの近所でやるというプラン。
2つ目は、学校のお友達と学校の周りを歩き回るというプラン。
3つ目は、学校は違うけど、近所のお友達Lちゃんと
うちの近所でやるというプラン(娘は越境で少し離れた小学校に通っているため)。

娘は3つ目のプランにした、というのだ。

理由はこうだ。
「Aちゃんとか学校のお友達とはたくさん会ってるから
ハロウィーンの時まで一緒にいなくてもいいの。
ハロウィーンはお家の近くで、たまにしか遊べないLちゃんとやるのがいいよね」。

へえ、大親友を差し置いて
たまにしか顔を合わせないご近所さんのLちゃんを選ぶんだ。

みんなと平等に仲良くしたいという気持ちなのか
Aちゃんや学校のお友達とは少し距離を置きたくなったのか、
単にイベントの種類によって友達を使い分けているのかは知る由もないが、
彼女なりにいろいろ考えたのだろう。

Lちゃんも、たまたま娘と同じく今年は魔女に仮装。
二人のチビ魔女は玄関の明かりがついている家を片っ端からノックしながら
大声を上げて楽しそうに走り回っていた。

そこにいるのはいつも通りの無邪気な娘だったが、
私には心なしかひとまわり大きくなったように見えた。

親は大満足、子どもは飽き気味のイエローストーン国立公園

標準

IMG_7489

イエローストーン国立公園は、
温泉と間欠泉で有名なところだ。

温泉といっても、温泉旅館があるわけではなく、
東京都の4倍もあるという広い公園内のあちこちに
水温や水質や地層の異なる温泉が湧き出ているのを観光するだ。

エメラルドグリーンや透き通った水色のもの、
泥と混ざってドロドロしたものや微生物の繁殖で緑色に濁ったもの、
グツグツ煮え立っているものから水蒸気だけで水のないものまで
いろんな温泉がある。

トルコのパムッカレの石灰棚を縮小したような
テラス状の温泉もあった(前ページ写真)。

IMG_7531

30分から2時間ぐらいの間をおいて
お湯が吹き上がる間欠泉も最大の見どころの一つだが、
中には数十年から数百年に一回しか
噴き上げないものもある。

Old Faithful と呼ばれる写真の間欠泉は、
だいたい45-60分の間隔で定期的に吹き上がるので
Faithful (忠実な)という名前が付いているらしい。

IMG_7392
イエローストーンのグランドキャニオン(Grand Canyon of Yellowstone)と
呼ばれる渓谷は、これまでの温泉の風景とはうって変わって
迫力がある。

温泉もそうだが、この渓谷美は古くからの火山活動によりできたもの。
最近の噴火は7万年も前とのことだが、
このエリア一帯はまだ活火山にあたり、
小さな地震は年に数千回も起こっている。

そういう意味でイエローストーンは
富士山や箱根にも似ていて、
巨大なイエローストーンレイクは
芦ノ湖や富士五湖の位置付けといったところだろう。

決定的に違うのは、温泉旅館(ホテル)なるものが一つも存在しないこと。
たくさんの温泉を見ながら
「これだけ温泉があれば、いい温泉場になるだろうに」と
思わずにはいられなかった。

露天でつかれるようになっている場所はあるようだが
裸で入るわけにもいかず、
やっぱり日本の露天風呂とはちょっと違う。

IMG_7180

大人はそんなことを考えながら
スケールの大きな景色や色とりどりの温泉に感動しっぱなしだったのだが、
娘はといえば、3日目にはもう飽きてきたようで
「また温泉見るの?つまんないよ。何かして遊びたいよ」
と言い始めた。

キャンプをするわけでもなく
一緒に走り回れるお友達がいるわけでもない国立公園の観光は、
7歳になったばかりの娘には
残念ながらあまり魅力的ではなかったようだ。

公園内をドライブするとあちこちで見られる
野生のバイソンやエルクに
歓声をあげて喜んでいたのも初日だけ。

一番楽しかったことといえば、
ホテルに併設されたプールで遊んだことだという。

小さな子どもを連れて旅行に出かけるときは
やっぱりプールのついたホテルに泊まるのが鉄則だ。

もう一つ、飽き気味の娘を喜ばせてくれたのは
ホテルのおもてなし。

予約の際に、娘の誕生日をお祝いする家族旅行である旨を記入しておいたら
二つのホテルで粋な計らいがあった。

一つめは、初日に泊まったB&B(howlers inn)。
オーナーの奥さんが直々にカップケーキを焼いてくれた。

もう一つは、全室コテージのスパホテル(rustic inn)。
チェックインすると、チョコレートいちごのデザートプレートが
誕生日カードと一緒にテーブルに置いてあった。

娘はわざわざフロントまで行って
お礼を言うといってきかなかった。
(これは特別なおもてなしだとさんざん言って聞かせたからだが。。)

そんなサプライズもあったが、
やっぱり人里離れた(?)国立公園に一週間以上も滞在するのは
子どもには酷だったかな、とちょっと反省したバケーションだった。

テーマパークなどとは違う大自然の魅力と威力を
少しでも感じてとってくれていればよいのだが。

シーズンオフだから旅行にもってこい!秋休みはイエローストーン国立公園へ

標準

IMG_7005

10月12日から二週間は学校の秋休みだった。
市内の小中学校に今年から導入された制度で、
その代わりに夏休みが二週間短くなる。

アメリカの夏休みは6月中旬から8月末までと二ヶ月以上、
このスケジュールに慣れているアメリカ人でも
さすがに長いと思っている。

だから、秋休みの導入は
比較的、好意的に受け入れられていた。

休みの後、ママたちと話してみると
シーズンオフの格安旅行を満喫した家族が多かったようで、
うちも含めてみんなご満悦だ。

一番人気の高かった旅行先は
何と言ってもロスにあるディズニーランド。
車で行っても7時間前後だし、
この時期、ハロウィーンのイベントなどもやっているから
子供を連れて行くにはもってこいだ。

「学校全体で遠足に来たかと思うぐらい
学校の友達にたくさん会った」と言っている人もいたぐらいだ。

ヨーロッパに行ったというツワモノもいたが、
うちはイエローストーン国立公園。

前から行きたいと思っていたが、
ワイオミング州にあるので
週末にちょっと、というわけにはいかないし、
夏休みなどは大混雑でホテルや航空券の代金もはね上がる。

だから、シーズンオフの今が行きどき、というわけだ。

サンフランシスコからの直行便はないが、
乗り継ぎ便で往復$200ちょっと。
シーズンオフなので公園内の宿泊施設はクローズしてしまっていたが
$150出せば近郊の町のそこそこのホテルに泊まれる。

というわけで一週間かけて国立公園をゆっくり見て回ることにした。

往復にはアラスカ航空を使ったが、
これが思いがけなくよかった。

普段、よく使っているユナイテッドに比べて
客室乗務員は笑顔でハッピー、
チーズやチョコレートがパッケージされた気の利いたスナックも出た。
子供にはディズニーの塗り絵セットも。

さらに、シアトルからイエローストーン最寄りのBozeman への乗り継ぎ便は
100席にも満たない小さな機材だったにもかかわらず
なんと昔のようにビールやワインが無料でサービスされたではないか!

機内サービスの費用をとことん削るのが
最近のエアラインのトレンドだが、
アラスカ航空は明らかにそれとは一線を画している。

私は一気にアラスカ航空のファンになってしまった!

さて、前置きが長くなってしまったので
イエローストーンについては回を改めてお話ししますね。