私が仕事でお世話になっている日本人駐在家庭が、
年末で日本に帰国されることになった。
よ〜く話を聞いてみると、
ご主人の任期はまだ終わっておらず、
奥様と3人のお子さんだけ先に帰国されるのだそうだ。
その話をダンナにしたところ、議論が白熱。
「何で奥さんと子どもだけで帰ることにしたわけ?」
「一番上のお子さんが有名私立小学校を休学して来ていて、
中学に進学するには12月末までに帰らないといけないらしいよ」
「え、そんな理由?」
「っつーか、せっかく受験して入った有名私立だから
その籍を失ってしまうってのはもったいないっていうのも分かるよ」
「だって、アメリカの学校に進学できる英語力もじゅうぶんついただろうし、
何も日本のその有名私立とやらに固執する必要はないんじゃないの?」
「アメリカの大学にも日本の大学にも行けるっていう
両方の選択肢がある方がいいでしょう」
「そもそも、今さら日本の大学に行くとかいう選択肢ってあるわけ?」
「(それはいい質問だけど)
そりゃ、あるでしょう」
「アメリカの方が、いい大学いっぱいあるよ」
「そう言われればそうかもしれないけど、
まあ、選択肢は多い方がいいじゃん」
「でも、日本の大学なんて世界ランキングではたいしたことないし、
単身赴任までして選択肢として残す価値があるのかね?」
「(ごもっともだが、日本人としてはちょっとムカつく)
まあ、子供の学校のために旦那さんだけ単身赴任している
家族はごまんといるよ」
「家族でちゃんと生活する方が
よっぽど子供の教育のためにはいいと思うけどね」
「(痛いとこを突いてる)
そりゃ、理想はそうだけど、
場所によってはやっぱりついていけないってこともあるでしょ」
「だったら旦那さんが新しい仕事を探してでも
そこに残れるようにするのが普通じゃないの?」
「そう簡単に転職できるとも限らないし」
「学校を変えられない、塾を変えられない、仕事を変えられない、
だから家族がばらばらに生活するのがベストっていう考え方だから
日本人夫婦は終わってるんだよ。
それこそ仮面夫婦ってやつでしょ」
ダンナは、どこかのネットニュースで覚えたらしい
仮面夫婦という言葉を使ってきた。
仮面夫婦かどうかは別として、
私も日本の受験事情や
そのために家族や子供の生活のクオリティが失われつつあるのには
強い反発を感じているし、変える必要があると思っているが、
一朝一夕には変わらない現実の中で
悩みながら単身赴任の決断をする家族のことも分からないわけでもない。
だが、ダンナにはどう説明しても伝わらない。
日本人の夫婦には愛がないってことになってしまう。
確かに、身の回りを見渡しても、
ロスなど飛行機で1時間ぐらいのところなら日帰りで長距離通勤をしたり、
(うちのダンナが昔やっていたように)週中だけ泊りがけで遠距離通勤し、
週末には帰ってくる、という工夫をしている人はたくさんいるが、
完全に単身赴任、というのは滅多に聞かない。
離婚率は高いが
家族としておさまっている間はけっこう絆を大事にするのが
アメリカ流なのだ。
愛情の問題か、受験制度の問題か、
「仕事も受験も、なんとかなる」というチャレンジ精神の有無の問題か、
はたまたそれらすべての問題か。
家族のあり方にもお国柄がよく表れている。