東京に到着したその夜、
メールをチェックすると
森永乳業からメールが入っていた。
「工場見学&チーズ作り体験 キャンセル発生のお知らせ」とある。
やった!
ダメ元で申し込んでおいてよかった。
工場見学や体験はほとんどが無料のため
とりあえず申し込んでおいて後からキャンセル、
というケースも多いのかもしれない。
こうして東京滞在二日目は
午前中の森永と午後のキュービー、と急に忙しい一日となった。
森永乳業の工場は
多摩モノレールの桜街道駅にあり、
滞在していた中野の家族の家からは
電車だけでも50分ほどかかる。
ラッシュアワーなのが心配だったが
通勤・通学とは逆方向だったため
のんびり座って電車の旅を楽しむことができた。
工場に着くと、大きな会議室に案内された。
パンフレットと紙パックのミルクをもらって
一番前の席に座った。
見学者は20家族ほどいただろうか。
全員がそろったところで
グレーのベストとスカートに白いブラウスの制服を着た女性が登場し、
森永乳業の会社紹介、商品紹介などのプレゼンテーションが始まった。
もらったミルクを飲みながらプレゼンを10分ほど聞くと
次はチーズ作り体験だ。
家族ごとにトレイに乗せられた牛乳とお酢のカップ、
茶こしのようなものが配られた。
「この牛乳は60度程度に温めてあります。
これにお酢を混ぜて五回かき混ぜてください。
多すぎても少なすぎてもいけません」。
娘はさっそくお酢を牛乳のカップに注ぐと
1、2、3、4、と数を数えながら五回かき回した。
「では、その液を空のコップに茶こしを通して流し入れてください」。
するとどうだろう。
コップの中には少し黄色がかった液体が流れ込み、
茶こしの上にカッテージチーズのような塊が残った。
「茶こしの上に残った塊がチーズです。
お家でも簡単にできますよ。
ちなみに、カップの中の液体はヨーグルトの中で時々見かける液体と同じです。
だから、あの液体は食べて(飲んで?)も大丈夫なんですよ」。
チーズ作りというから
しぼりたてのミルクをたらいほどの大きな容器に入れ、
長い木製の棒などでみんなでかき混ぜたりするのかと思ったら
こんなに簡単で小規模な実験でびっくりした。
「では、チーズを試食してみましょう。
そのままでは風味が薄いのでクラッカーに
ジャムと一緒に乗せてお召し上がりください」。
リッツクラッカーと個別包装された小さなジャムが配られた。
さっそく試食。
まったくチーズ臭さがなかったが食感は確かにカッテージチーズだ。
5分程度のあっという間のチーズ作りだったが
チーズ作りの基礎は分かったような気がした。
ミルクの温度とかき混ぜすぎないことがコツなのね。
娘は、話を聞くだけでなくミルクやチーズが試食できたのだから大満足だ。
そのあと、工場見学に出発。
瓶詰め、パック詰めの牛乳やジュースが作られ、
箱詰めされるまでの工程をガラス張りの廊下から見て歩く。
ずーっと昔に学校で行った社会科見学を思い出す。
ベルトコンベアで運ばれる空の容器に
ミルクやジュースが注がれ、キャップやストローが付けられていく。
オートメーションと言っても
今の時代においてはとてもローテクに見えるその流れ作業に
なんとなくホッとした感覚を覚えたのは私だけだろうか。
見学が終わると、かわいらしい牛のキャラクターが描かれたロゴ入りノートや
アイスクリーム用のステンレスのペアのスプーンなどをもらって
またまた娘は上機嫌。
多摩モノレールにまで乗って
はるばる見学に来た甲斐があったかな。
次への期待もちょっと高まった。
うっとしいぐらいのセミの声を聞きながら工場を後にし、
午後からのキュービーマヨテラス見学へ向かった。