カテゴリー別アーカイブ: 三年生(3rd grade)

初めてのテストはCAT(Computer Adaptive Testing)

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アメリカの小学校では
日本の小学校のようなテストというものがない。

日本では小学校1年生の頃から
各教科、単元が終了するごとにテストがあった記憶があるが
少なくとも娘の学校ではそのようなものは存在しない。

毎週、15個ずつ単語の綴りを覚えるSpelling Testがせいぜいで、
算数も、時々、先生がマル付けをしたと思われるプリントを
持って帰ってくることはあるが、
それも100点満点で点数がついてくるわけでもなく
A+, A, B, C などとだいたいのグレードが書かれている程度だ。

だが、3年生以上になると
州のアチーブメントテストというものが始まる。

娘も、今年初めてその旨を知らせるレターを持ち帰ってきた。

『学年相当のライティング、クリティカルシンキング、
問題解決能力がついているかどうかを測る
カリフォルニア州監修の英語、算数、理科のテストが年度末に行われます。
このテストは、今後の指導法やカリキュラムに関する
データを収集するためのものであり、
希望しない場合は辞退することも可能です』
とある。

辞退できる、というのがアメリカらしい。
実際に辞退する人がそんなにいるとは思えないけど
まあ、個人の能力を測るというよりは
教師がきちんと指導ができているかを評価するためのものという建前なのだろう。

テストの結果は、新学期に自宅宛に郵送されるというから
確かに、これをもとに成績をつけるというわけではなさそうだが、
それでもやっぱり『テスト』と聞いて
娘はちょっとビビっている。

「できなかったらどうしよう?」

「Computer Adaptive Testだから、
間違ったらその次は少しやさしい問題になるし、
正しく答えれば答えるほど難しい問題が出てくるのよ。
だから難しい問題が出てきたら、
よくがんばったということだよ。
それよりもコンピューターの操作は大丈夫?」

私はむしろ、3年生でもうコンピューターを使ってテストをする、
ということに驚いた。

うちはあまりデジタル推進派ではないこともあり、
PC操作やタイピングなどは自宅では積極的に教えていないので
そっちの方がちょっと不安になったが、
「それは学校でいつも使ってるから大丈夫」
と一蹴された。

確かに娘の学校では、
TK(Transitional Kindergarten=1年生の前々年度)の頃から
毎年週一でコンピュータークラスが組まれている。
用意周到、全員がコンピューターでテストを受けられる程度にはなっているのだろう。

そうして。。。

「11年生(高校2年生)までみんな同じテストなんだよ。
Scary!(ああ恐!)」。
娘は帰ってきては時々そんなことを漏らしていた。

Computer Adaptive と言っても
3年生から高校生までが同じ問題からスタートするとは思わなかった。
(本当か?)

6月頭の2週間ほどの間に
1回2時間のテストを5回ほど受けたようだが、
上級生はもう少し時間数が多かったとも聞く。

普段、テストがない割には
この年度末のテストはけっこうハードだ。
じっとコンピューターの前に座っているだけでも大変だっただろう。

テストが終了すると同時に学校は夏休みに突入したが、
夏休みには、コンピューターにもうちょっと親しませたほうが良いかな、
などと少し考えている。。。。

3年生の今年はアメリカ原住民(オローニ族)プロジェクト

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一年に一度、数週間かけて
テーマに沿ったリサーチや工作を行うプロジェクト
宿題が出ることは前にも書いた通りだが、
3年生の今年は『Native American(アメリカ原住民)』
についてがテーマだった。

アメリカの建国の歴史は
小学校に入る前後からサンクスギビングの祝日について
繰り返し聞かされることで自然と学んで行くのだが、
そのピルグリムたちがイギリスからやってくる
ずっと前からアメリカ大陸に住んでいた
アメリカ原住民について
きちんと教えている州は実はあまり多くない。

Montana, Idaho, Minnesota, New Mexico, Oklahoma,
Wisconsin, North Dakota, South Dakota などでは
アメリカ原住民についてのカリキュラムを
必須としているらしいが、
カリフォルニアの取り組みについては
調べてみてもどこにも資料が見当たらない。

ヨーロッパからやって来た移民たちが
先住民たちを押しのけて新しい国を建国、
少数民族となった彼らは
特別区のようなところに追いやられて居住し、
満足とはいえない生活や教育レベルにあることを考えると
取り扱いにくい問題であることがうかがえる。

そのせいか、娘のプロジェクトも
『Native American』という大きなくくりではなく
その中でも3000年ほど前からサンフランシスコ一帯に住んでいたと言われる
Ohlone Tribe(オローニ族)』について
その生活様式やその知恵などについて学ぶ、という
かなり的を絞ったテーマとなっていた。

あまり深読みせずに
「3000年前の人間がどんな生活をしていたか」という
シンプルな解釈で取り組めばいいらしい。

課題は3つのテーマから選ぶ。

・Ohlone Tribeの食事メニューを考案する(写真下)
・Ohlone Tribeの衣服を再現する
・Ohlone Tribeの家のミニチュアとジオラマを作る

娘はOhlone の家を作る、と最初から決めていた。

すでにそれぞれのテーマについて学習済みらしく、
娘は「Tule(トゥーリーというツリグサの一種)をかぶせた
ドームみたいな家なんだよ」とさらっと言うが、
Tule なんていう植物は聞いたこともないし、
調べてみると、もうこの辺りには生育していないようだ。

何か代わりになるものを探さないと。

スイセンのような細長い葉っぱを探して
近所の公園を2箇所ほど訪れてみたが、
そんな植物はどこにも見当たらない。

裏庭の畑にたくさんの植物や野菜を植えている
ご近所さんを思い出し、訪ねてみた。

「細長い葉っぱを探してるんだけど、お宅にない?」
「んー、草はないけどヤシの木だったらあるから葉っぱを取ってあげるよ」。

ゆうに50cm以上はある葉っぱが
団扇のひらのように広がって生えているフサを
2つほどもらって帰ると、
さっそくそれを細く手で裂く作業に入った。

作業をする娘と私の頭の中には
立派なTule House のイメージが描かれ
もう出来上がったかのような気分になっていたが、
実際はそう簡単にはいかなかった。

翌週末、裂いたヤシの葉っぱをかぶせるための
フレーム作りにとりかかった。
これが思いのほか大変だった。

本来なら太い木の枝を細く削ったものや
柳のようなよくしなう素材を使って
ドームのような形の骨組みを作るのだが
今度はその材料が見つからない。

仕方がないのでクリーニングハンガーを使うことにした。

いざ工作に使おうとすると
針金は意外と硬く、切ったり折り曲げたりして
滑らかなドーム型の骨組を作るのは
思ったより難しかった。
この日は骨組み作りだけで終わってしまった。

翌日、ようやく骨組みの上に
裂いたヤシの葉をかぶせていく作業にとりかかった。

水平にかけられた三層の針金に
それぞれ半分に折ったヤシの葉っぱをかぶせ
その上から紐で固定、
はみ出した端っこの部分を切りそろえればドームハウスの出来上がりだ。

私が体裁を整えている間に
娘は厚紙でジオラマの土台と
オローニ族の家族、家の中に必ずあったという囲炉裏などを作り始めた。

「オローニの人たちは鹿や熊の毛皮を着ていたんだよ」。
「ご飯はドングリや木ノ実をつぶして食べてたんだ」。
「家は必ず川の近くに作ってたから、川も描かないとね」。

娘はNative American の専門家気どりで講釈をしながら
サラサラと絵を描き、色を塗っている。

その土台にドームハウスを固定、
狩りに出かけるパパを見送るママと子供を
その入り口に立たせたら完成だ(写真上)。

私としては、もっとヤシの葉をたくさんかぶせればよかったな、とか
ハンガーの代わりにもっときれいなドームを作れる材料はなかったかな、とか
心残りがなくはなかったが、娘は大満足。

提出締切日当日、
学校に持っていくとクラスメートがいっせいに寄ってきた。
娘はドヤ顔で作品を見せている。

それを見ながら私は、
今年も無事、ホームプロジェクトを乗り切ったと
ホッと一息ついた。
お疲れ様でした。

娘が生徒会の代議員に選ばれたらしい

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当たり前だが、アメリカの小学校にも
生徒会(Student Council)というものがある。

新学期が始まって間もない頃、
生徒会長(President)、副会長(Vice President)に
立候補する最上級生(5年生)の候補者の
名前やイラストが描かれたポスターが
学校中に貼り出されていた。

ミュージカルを一緒にやっていた
xx君がPresident に立候補してるなあ、
ぐらいには思っていたが、10月になって
娘が突然、こう言った。

「今日、Student Council のミーティングに出てきたよ」。

「え、何で?公開ミーティングとかあったの?」
と聞くと、
「違うよ、私とA ちゃんがクラスの代表として参加したんだよ。
3年生からミーティングに出れるんだよ」。

「へえ、そうなんだ。でも何であなたとA ちゃんなの?
みんなで順番に出ることになっているとか?」

「だから私たちはClass Representative (クラス代議員)なんだってば」。

それでもまだ半信半疑の私は
「Representative (代議員)ってことは選ばれたってこと?」
と突っ込む。

「そうだよ。クラスで投票してA ちゃんと私の票が一番多かったんだよ」。

えー、ほんとかー?

「それって、クラスの全員の中から選んだの?」
「ううん、立候補した8人の中から」。
「え、あなた立候補したの?」
「うん」。

へー、あんなに人前に出るの嫌がってるのに。

「K君とかA君
(クラスでもよくできる男の子の名前)とかは?」
「男子は誰も立候補してない」。
「8人とも女の子?」
「そう」。

なんと、最近の女の子はたくましいなあ。

「そもそもRepresentative (代議員)って何するか知ってたの?」
とちょっと意地悪な質問。

「Student Council のミーティングに出て、そこで決まったことを
メモに書いてちゃんとクラスに伝えるんだよ。
今日も、私とA ちゃんで半分ずつ発表したよ」。

「今日は何が決まったの?」
「毎週金曜日は、スクールTシャツをなるべく着ていくこと」。

「そもそも毎月第一週の金曜日に着て行ってるじゃない。
それが毎週になったの?」
「絶対じゃないけど、できるだけね」。
「何のために?」
「愛校心を高めるために決まってるじゃん」。

だよね、失礼しました。

初回のミーティングだからか
話し合われた内容はたわいもないことだったようだが
本人はいたって真面目にとらえている。

「Representative だけでも率先してやったほうがいいから
今度から金曜日はスクールTシャツにしてね。
あ、そうそう、ミーティングのメモを取るためのノートも欲しいな」。

ここは、私も真面目に付き合ったほうがいいんだろうな。

「OK。じゃあ、ノート用意しなくちゃね」。

もともと正義感は強い方ではあるが
Student Council に関わるようなタイプではないと思っていたので
この何気ない報告には少しびっくりした。

女子二人のRepresentative が
どんな風に学校運営に関わっていくのか
ちょっと楽しみだ。

今年のハロウィーンは手作りコスチュームに挑戦!

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またハロウィーンが近づいてきた。

娘は、今年は”Super Hero High” という
テレビ漫画のキャラクター”Harley Quinn(写真上)”
にするという。

“Super Hero High” とは、
スーパーウーマンやワンダーウーマン、
バットガール(バットマンの女子版)などの
スーパーパワーを持つ女子高生が通う学校を舞台にした
コメディ番組なのだが、その中で
いたずらばかりしているハチャメチャなキャラクターが
“Harley Quinn(ハーレクイン)” だ。

なぜスーパーガールなどのスーパーヒーローではなく
“Harley Quinn” なのか?

“Harley Quinn” といえば、
バットマンの映画に登場するジョーカーの
右腕として描かれているいわゆる『悪者(Villain)』
がモデルだ。

そういえばお友達のSちゃんも
“Corpse Bride” になる予定だという。

“Corpse Bride” は、ゾンビとなって蘇ってきた花嫁と
死の国で結婚する羽目になってしまった
花婿のストーリーを描いた映画で、
その花嫁は白い花嫁衣装を着たミイラのような出で立ちだ。

正義の味方は卒業、悪者がカッコいい、という
少し斜に構えた年齢になったのだろうか。

振り返ってみると、
物心つく前の3歳ぐらいまでは
ひよこやてんとう虫など、罪のない衣装を親が選んでいたが、
幼稚園に通い始めてからしばらくはプリンセス一色だった。

小学校に入るとスーパーヒーロー時代が続いたが、
3年生の今年は悪者(Villain)だ。

毎年、何になりたいと言うのか楽しみでもあるが、
特定のキャラクターを指定されると
困るのが衣装の調達だ。

人気のキャラクターは、$25ー$50ぐらいで
コスチュームが売られているが
中途半端なキャラクターはサイズも考慮すると
そう簡単には見つからない。

“Harley Quinn” も、オンラインでは売られているようだったが
ハロウィーン当日に着るだけのコスチュームなのに、と
決めかねていると、娘が
「ママと一緒に作りたい」と言い出した。

毎年、手作りのコスチュームを着てくる子もいれば
一ヶ月ぐらい前から家族ぐるみで
小物も含めた大掛かりな舞台セットのような作品を
作り上げる家庭も珍しくないので、
その選択肢も唐突ではないのだが。。。

オンラインでそのコスチュームをよくよく見てみると
確かに作れないことはなさそうだ。
赤白と白黒のチェックの布を買ってきて
縫い合わせ、ジーンズの短パンを合わせれば出来上がりだ。

「分かった。じゃあ、今日、布を買っておくからね」
と約束し、昼間に手芸ショップに出かけた。

だが、残念ながら、マッチするチェックの布は見つからなかった。
やっぱりオンラインか???

考えながら店中を歩き回っていると、
赤と黒のフェルト布が目に入った。

赤と黒のダイヤモンド型をたくさん切り取って
手持ちの白いポロシャツに縫い付ければ何とかなるかもしれない、と
計画変更、さっそく赤と黒のフェルトを2枚ずつ買ってきた(写真下)。

ダイヤモンド型をシャツに縫い付けるだけなら
娘にも教えられそうだし、手芸のいい練習にもなる。

ハロウィーンまであと数日。
親子手芸プロジェクトでまた忙しくなりそうだ。

どんなものに仕上がるか乞うご期待!

「え?担任が二人?」ー3年生の新学期

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8月15日、新学期が始まった。
娘は3年生になったが、TK(Transitional Kindergarten)、
K(Kindergarten)、1-2年生を終えて
この学校に通うのもなんと5年目になる。

この辺りでは6年生から中学校に行くので
小学校も今年を入れてあと3年。。。
早いものだ。

毎年恒例のクラス発表を
前日に学校に見に行くと
娘のクラスは担任の先生がなんと2人もいる。

2人の先生が担任となっているクラスは
これまでの学年でも何度かあったが
娘がそのクラスになったのは初めてだ。

「うまく業務分担できる相手を自分で見つけられれば
パートタイムで担任を持つことも可能なんだって」
と誰かが言っていたが、
そんな勤務形態も許されるなんて
さすがいろんな働き方が認められているアメリカらしい、と
労働者の立場としては前向きに評価したい一方で、
親の立場からすると
「そんなのでちゃんと担任が務まるの?」
という漠然とした不安もよぎる。

登校初日、娘を送って行くと
先生たちが外に出ていて、その前にクラス別に子どもたちが並んでいる。

始業式も何もないので
ベルが鳴ると子どもたちは先生に引率されて
そのままゾロゾロと教室に入って行き、
保護者たちは手を振りながら見送るだけだ。

相変わらず新学期だからといってなんの特別感もない。
担任の先生の顔は分かったが、素性は分からないままだ。

その日、娘は先生2人からもらったというギフトバッグ(写真)を
持って帰ってきた。

「3年生へようこそ!
たくさんのことを学ぶ一年にしましょうね」
というメッセージの後に、二人の担任の名前が書かれている。

袋の中には、
PTAから全校生徒に毎年配られるスクールTシャツと
先生が用意してくれたと思われる小袋に入ったキャンディが
入っていた。

わざわざこんな演出をしてくれるぐらいだから
とても熱心な先生で、二人の息もあっているのだろう、
と少し安心したが、
二週間後に行われたBack to School Night
(先生と保護者が教室に集まる初めての懇談会)で
それは確信と大きな期待に変わった。

F 先生はなんと今年が教師50周年目の70代の女性。
PCでプレゼンテーションを操りながら
大声で豪快に話す。

「K 先生とのコンビは5年目になりますが
私たちはもう親友といってもいいぐらい。
基本は、毎日交互に担当しますが、
一日2ー3回は電話で連絡を取り合っているので
クラスで起こったことはすべて共有できています。ご心配なく」。

「もう毎日の連絡帳はご覧になりましたか?
毎週月曜日の欄に小さな英語の詩(ポエム)の紙が貼られているのに
気がついてますか?
詩は、いろんなことを学ぶのにとても役立つのです。
Facts fade, songs stay.
(事実を暗記しても忘れちゃうけどは歌は忘れませんからね)」。

「今年は、足し算、引き算、掛け算、割り算を徹底的にやります。
私の主人はスタンフォード大学の物理学の教授ですが
彼がいつも私にこう言っています。
『これが確実に早くできるようにならないと
この先の数学には手も足も出ないぞ』。
私が教師を始めた頃から使っている、この計算カード、
今の時代でもこれがやっぱり活躍するんです
(と言って、四則演算が書かれ、答えの部分に穴が空いている
厚紙でできたボロボロになった計算カードを見せてくれた)。
家でも、どんな方法でもいいので暗算を鍛えてやってください」。

「私はこんな感じで、細かいことは苦手なんですが、
そこはK 先生がいてくれますから大丈夫。
この教室の展示を見てください。素晴らしいでしょ。
彼女、こういうのがとっても上手なんですよ」。

うちの母と同じぐらいの年齢なんだろうけど
比較にならないぐらい元気だ。
(定年退職という概念はアメリカにはそもそもないが)リタイヤもせず
未だに教職を続けているのは
教育に情熱があるからなんだ、と一目でわかる。

そんな先生(たち)が担任なら
2人だって3人だってかまわない。

今年も大船に乗った気分でいられそうだ。
ダンナと二人、よかったね、とうなずき合った。