月別アーカイブ: 4月 2020

Social Distancing なHappy Birthday

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娘の仲良しさんのうち2人は4月生まれ。

Aちゃんの誕生パーティに呼ばれていたのだが、
Social Distancing でパーティは中止になってしまった。

そこでグループの一人がこんなことを言い始めた。

「パーティがあるはずだった日に
Aちゃんのお家の前にみんなで集合して
ハッピーバースデーの歌を歌ってあげよう」。

子どもたちが式次第や服装などについての
ビデオミーティングを重ねる一方、
母親たちも連絡を取り合い、集合時間などを調整。

ほとんどの子どもは車での送迎なしには
Aちゃん宅にたどり着けないため、
当日は親同伴のプチ集会になった。

集まったのは娘を含む5人(+その母親5人+父親2人)。

Aちゃんのお母さんが
事前に切り分けたバースデーケーキを2-3m間隔ごとに
地面に一列に並べてくれていた。

それに沿って全員が自宅で準備してきてきた
バースデー・メッセージ・ポスターを掲げると
Aちゃんのお母さんが本人を呼びに家に入った。

本人には知らせていないサプライズ・パーティだ。

Aちゃんが家から出てきたところで
みんなでハッピーバースデーの歌を歌い始める。

Aちゃんは一瞬びっくりした様子だったが、
照れたようにニヤニヤ笑いながら聞いている。

「ハッピーバースデー!」といっせいに声をあげたものの、
お誕生日ガールに駆け寄ることもできず
ハグをすることもできず
その場でそれぞれがケーキをほおばってお祝いした。

そして、誰からともなく
「お互いに近くに寄らないって約束するから
お散歩に行ってもいい?」と聞く。

1ヶ月ぶりにやっと会えたというのに
こんなにあっけなく終わりにしてしまうのが
物足りないのだろう。

Aちゃん宅は学校の近くにあることもあり、
懐かしい気分になったのかもしれない。

久しぶりにお友達に会えて大興奮している
子どもたちを引き離すのはかわいそうに思えたのか、
「6フィート開けるのよ」などと言いながらも
それを引き留めようとする親はいなかった。

そうして、約30分後に戻ってきた子どもたちを連れて
それぞれがまたShelter の自宅へ戻った。

その翌土曜日はMちゃんの誕生日。

Mちゃんのママからはあらかじめ
「家に閉じこもってばかりなので
ドライブがてら仲良しのお友達のお家を順番にまわろうと思っています。
ハッピーバースデーの言葉だけかけてもらえるかしら?」
とのメールが来ていた。

娘は、ガレージの前に小さなテーブルを置き、
おもちゃのケーキとコーヒーカップを用意して
パーティ気分を演出してあげたいという。

「あと15分で着きます」というメッセージをもらう1時間以上も前から
家の中と外を行ったり来たりしてそわそわしている。

知り合いから借りたという真っ赤なコンバーチブルで
Mちゃんファミリーがようやく到着、うちの前に停まった。

娘と私でハッピーバースデーの歌を歌った後、
娘が車の停まっている歩道まで出てプレゼントの入った小さな紙袋を置くと
Mちゃんのパパが降りてきてそれを取り上げ、
代わりに小さな箱を置いて行った。

中には、小さなホワイト・チョコレートケーキが入っていた。
ほんの数分のささやかなお祝いだった。

パーティ・テーブルを片付けながら
きっと、こんな光景がこれからあちこちで見られるようになるんだろうな、と思った。

Social Distancing という制約の中でも
こうやって非日常を楽しもうという
クリエイティビティと前向きさ(?)は
パーティ好きでソーシャルなアメリカン・カルチャーそのもの。

外出禁止だからと言って
すべての楽しみをギブアップし、黙って外に出られる日を待つなんてことは
あり得ないのだ。

非常事態宣言が出されても
株価が暴落しても
何とかなると思えるのは、
私もそんなポジティビティをもらっているからかもしれない。

Social Distancing の中でのエンターテイメント

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同居する家族以外とは
接する頻度を極力下げ、
接する必要がある場合でも
6フィート(約2m)の距離をあけること、
これがいわゆるSocial Distancing
(ソーシャル・ディスタンス)だ。

今回のコロナウイルスのように
効果的な治療法がないパンデミックには
もっとも有効でかつ唯一の対応策といわれている。

在宅勤務も学校の休校もすべて
このSocial Distancing の一環だ。

買い物に行っても、店内に入る人数を限定するため、
入口には長い行列ができている。
ショッピングを終えて店を出たのと同じ人数だけが入店させてもらえる。
もちろん、並んでいる間も2mの間隔をあけておかなくてはならない
(店によっては2mおきに地面にテープが貼られている)。

そんな中でも逆境にめげず
楽しく健康的に生活しようというのがアメリカン・スタイルとでもいうのだろうか。

あるお天気の良い週末、自宅で煮詰まりそうだった私たちは
ハイキングに出かけることにした。
わざわざハイキングに出かけるのは私たちぐらいかと思いきや、
トレイルの駐車場はほぼ満車だった。

すれ違ったハイカーの大半が子連れだ。
グループごとにすれ違うときも
みんな意識してソーシャル・ディスタンスを保っているようだった。

混雑しているとはいえ、押し合いへし合い、というわけでもないし
気分転換にはもってこい、と思ったら、
その翌週から州や郡の管理するハイキング・トレイル、ビーチなどの多くが
クローズされてしまった。

ビーチでパーティをしているグループが見受けられたり
(これはそもそもSocial Distancing違反!)
駐車場の混雑のため路上駐車が増え、事故の危険性が高まるなどの理由らしいが、
数少ないファミリー・アクティビティの選択肢が減ってしまったのは
かなり残念。。。

じゃあ、サイクリングなら、と、翌週は
サンフランシスコ湾沿いに500マイル(約800km)にわたって
整備されているサイクリング・トレイルに向かった。

家から10分ほどでそのトレイルに乗れるのだが
こちらは普段よりサイクリストの数は少なかったような気がする。
反対に、マスクをしてウオーキングを楽しんでいる人が
たくさんいて少し驚いた。

運動不足の解消に、とムキになってペダルを漕いでいたら
家から7km以上も遠くへ来てしまった。
娘がブツブツ言い始めたのでUターンしたが、
サイクリングはSocial Distancing状態の中でも有効な
オススメのエキササイズと言えそうだ。

とはいえ、外でのエキササイズはせいぜい週に1〜2回。
やっぱり自宅でテレビやストリーミング鑑賞をする時間が圧倒的に長いのだが、
Social Distancingは、私たち視聴者の生活だけではなく
テレビ界の常識も変えてしまった。

深夜のトークショーコメディーショー
ホストやキャストが自宅で番組を撮影、放映し始めた。

映画やストリーミング番組の撮影が遅れているというが、
生放送番組の場合、遅れるという選択肢はなく
放送できなければ打ち切りしかない。

じゃあ、観客なし、最低限のスタッフで
自宅からやってしまおう、という発想がすごい。
在宅勤務の芸能界バージョンだ。

逆境をネタにするというスゴさももちろんだが、
Social Distancingなんて無関係に思える影響力のある人気スターたちが
真面目に在宅勤務をしている姿は
Social Distancingを奨励するメッセージとして
視聴者に伝わっているのではないかと思う。

日本では、あの志村ケンが亡くなったことが
ようやく国民がこのパンデミックを真剣に受け止めるきっかけとなったとも聞くが、
これは両国の姿勢の違いを象徴しているような気がする。

Social Distancingは辛いし、ネガティブな影響を数えたらきりがない。
でも、Social Distancingを成功させることを前提に
一人ひとりができることをきちんとやっていくしか
このパンデミックに勝てる方法はないんだと言い聞かせる毎日である。

email で実感するパンデミックのインパクト

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“Shelter in Place” がカリフォルニア州で発令されたその頃から
“Important Update” や”To Our Customers” などのタイトルで
さまざまなビジネスから続々とメールが届き始めた。

航空会社会は、3-4月分のフライト予約のキャンセル・変更を
ペナルティなしで受け付けると言い、
アパレルやその他リテールショップは店舗を一時閉鎖すると言い、
レストランやカフェなどは店内での飲食サービスを休止し、
テイクアウトやドライブスルー・サービスに専念すると言う。

その対応の早さに驚くと同時に、
さすがemail マーケティングの先進国だな、と
別の意味でも感心した。

それらのメールには
サービスや営業内容の変更についてだけでなく、
必ずといっていいほど
在宅勤務への変更や店舗で働かざるを得ない従業員への時給アップなど
従業員への対応についても詳しく書かれている。

マーケティング業界でこれが理想のテンプレートとして広まったんだろうな、
と少しうがった見方をしながらも、
顧客と従業員双方の安全を考えている企業であることを
ソツなくアピールできている(と思う)し、
ユーザーとしては好感を持った。

一方で、ローカルビジネスや習い事の教室などからのメールには、
パンデミックがすでに経済に及ぼしはじめている影響を
直視せざるを得ないようなものも多い。

予定していた公演をキャンセルしなくてはならなくなった
地域のミュージカル教室は、
購入済みのチケットの代金を次回の公演分に当てるか
そのまま寄付扱いとしてくれるよう懇願していた。

娘の水泳チームは当面の間、
コーチを解雇扱いとせざるを得なくなったと言う。

器械体操のクラブからは、
家でもできる柔軟体操のYouTube ビデオなどが送られてきているが
“Shelter in Place” が長引けば、ここもそれどころではなくなるかもしれない。

悲しいのは、人の動きがまったく止まってしまった今、
こういったスモール・ビジネスには対策の練りようがないことだ。

でも、パンデミックが起こってしまった以上、
その影響を最小限に抑えるには
私たち全員ができること(家でじっとしていること)を
きちんとやっていくしかない。

そうすることによって、解雇された人々がビジネスに戻り、
傾きかかったビジネスを立て直す日が少しでも早く来ることを願って。

Distance Learning 初日の校長から保護者へのメール

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3月19日
オンライン授業の初日。
午前11時から担任とクラス全員が
Google Meet 上で顔を合わせた。

時々、漏れ聞こえてくる会話を聞いていると
授業をしているという感じではない。

あとで娘に聞くと、「みんなカメラの前でダンスしたりして
ふざけてばっかりだった」と言っていた。

「え、じゃあ、授業は?」
「最初だからみんなでおしゃべりしていいって先生が言った。
Google Meet の使い方に慣れましょうって」。

なんだかちょっと拍子抜け、と思っていると
そこへ校長からすかさずまたメールが届いた。

『保護者の懸念と質問に答えます。

まず、教員の就業時間は8時から3時15分までです。
その間なら私も含めて連絡には応答しますが、
時間外の問合せにはタイムリーに対応できないことをご理解ください。

そもそもDistance Learning の実施が決まったのが先週の金曜日、
教員は、繰り上げとなった開始日に間に合わせるべく睡眠時間を削って準備をしました。
全校生徒にもれなくその教材を届けることができただけでも快挙と言えるでしょう。

教員は、オンライン授業のトレーニングを受けているわけでもなく、
手探り状態で取り組んでいます。
さらに、彼らにも家族があり、在宅で仕事をしている状態ですので
完璧ではない点もあると思いますが、ぜひ寛容な目で見てあげてください。

また、オンライン・ツールについて、
Google 以外のツールを推薦する声もありましたが、
現時点では当学区の全ての小中学校がGoogle を導入していますので
ご理解ください』。

言われてみればその通りだ。
なんでもオンラインで済ませられる昨今、
オンライン授業と言われてもあまり特別感はなかったが、
実際は使用教材やクラス運営も異なるはずで
先生たちにはけっこうな負荷がかかっているに違いない。

そこへ、「なぜGoogle なの?Zoom は?
Apple Classroom の方が使い勝手いいでしょ?」なんて言われても、ね。

2通に分けられたメールのPart 2 には、
Distance Learning を乗り切るための心得がまとめられていた。

・休み時間やランチなど、通学時のスケジュールをなるべく維持する。
・どの教科をどの順番で学習するかなどは本人に決めさせる。
・質問があれば、本人から担任へ質問させる。
・体育はぜひ家族の運動不足解消のため、一緒にやってあげてください
・時間があればお友達にビデオコールをしたりチャットをしましょう。
 子供達には、コミュニティとつながっているという感覚が大事です。
・日記を書きましょう。こんな非常事態は二度とありません。
 高学年の子供ならコロナ感染についてリサーチをし、
 家族の情報源となってもらうのも一案です。etc.

個人的にはこの長〜いメール、とても納得感があった。

確かに、こんな非常事態は1週間前には予測もつかなかったし、
普段の基準でモノゴトを進めようとすることに無理がある。
学業はともかく、友達や家族との絆、臨機応変に対応する力、
正しい情報を汲み取る力などを高めるいい機会と考えるべきだろう。

ちなみに、お察しの通り、このメールがきっかけとなり、
私もこのブログを再開することにした。

教育以外への影響やアメリカのCOVID-19 への取り組み情勢についても
ふれていこうと思う。

Distance Learning(在宅学習)の前倒し導入

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3月17日(火)
昨夜、校長から
『明日の朝、急遽、Distance Learning (在宅学習)の
教材を配布することになりました』と
メールが届いた。

当初、19日に登校して受け取る予定だったのが、
“Shelter in Place”(外出禁止令)が昨日発令されたことで
それができなくなったのだ。

先生方はきっと徹夜で、春休みまでの2週間強の
カリキュラムをまとめたに違いない。

“Shelter in Place”に則り、教材配布についても
学校周辺でドライブスルー方式で行い、
『車から下車したり、配布係のボランティアと接触することのないように』
と書かれている。
受け取り場所も学年ごとに別々に定められている。

その朝、ダンナと娘は教材を受け取りに車で学校に向かった。
心配していた長蛇の列もなく、また、誰かと顔を合わせて会話をすることもなく
(そのためのドライブスルーなのだが)
ある意味、拍子抜けするぐらいだったようだが、
持ち帰ったフォルダーの中には
2週間分の時間割(写真)と算数や社会科などのプリントが
どっさりとはさまれていた。

毎日の推奨学習時間は
– Math(算数):1時間
– Reading & Writing(読み物と作文):1時間
– History(歴史):30分
– Geography(地理):30分
– Science(理科):30分
– PE(Physical Education=体育):30分

の合計4時間とある(写真)。

「え、4時間も!」というのが正直な感想。
長期休暇ではないのだから勉強して当たり前なのだが。。。

まあ、それだけ毎日やってくれれば、
退屈して親の手を煩わす時間も減るだろう、と
心配が少し薄らぐ。

19日の木曜日には担任の先生とクラス全員で
オンライン・キックオフ(?)ミーティングをするという。

自分がHome Schoolをすることになるとは思わなかったが、
これを機にオンライン教育がさらに浸透するかもしれないという予感もあり、
どんな展開になるか少し楽しみだ。