今年の一月の初参加から
娘はほぼ月一ペースで水泳競技会に参加してきたが、
9月16日は、2ヶ月の夏休みが開けて初めての大会だった。
もう何度目かの参加で少し気を抜いたのがよくなかった。
集合時間に15分ほど遅れて会場入り。
通常、ウォームアップが1時間ほど取られているため
少し遅れても大丈夫、とゆっくり出かけたのだが
チェックインの時にいきなりこう言われた。
「出場45分前までにチェックインしなければ
棄権とみなされます。
午後の第一種目にサインアップされていますが
この種目はたった今、受付を締め切ったところです」。
しまった、、、。
そんなルールがあるとは初耳だった。
でも、遅れたのは事実。
ここで揉めても仕方ない。
気持ちを切り替えて残りの2種目に集中させようと
娘を促して会場に入った。
その途端、娘が大声で泣き始めた。
「ごめんね、ちょっとのんびりし過ぎちゃったね」
と、平謝りの私。
競技会前の緊張と恐怖心を自分なりにコントロールして
やっと気持ちの準備を整えた娘に申し訳ない気持ちでいっぱいだったが
どうしようもない。
そうこうしているうちに第一種目が始まった。
娘が棄権させられた100m個人メドレーかと思いきや、
チーム対抗100mリレーが始まった。
それを見たダンナは
「100mリレーが先にあるんだったら
45分前までのチェックインに間に合ってるじゃん。
これは主催者側のミスだ。掛け合ってくる」
と、憤慨して受付の方に消えていった。
言ったもん勝ち、がモットーのダンナには
「そんなことでことを荒立てなくても」と
面倒くさく思うことも多いが、
今回は祈るような気持ちでその姿を見送った。
しばらくして帰って来たダンナは
「100m個人メドレー、出れることになったぞ。
スタート台に行って並んでおいで」
と、娘の背中を押した。
100mリレーはアメリカ水泳連盟の正式競技でないため
(一人25m x 4人では距離が短すぎる)
当日の正式種目リストから除外されていたらしく、
そのために次の100m個人メドレーが
第一種目として扱われていたらしいのだ。
娘は満面の笑みを浮かべて小走りにスタート台に向かった。
100m個人メドレーを泳ぎ切っただけでも
よく考えたらすごいのだが
(私はバタフライができないので参加すらできない)、
今回は、参加させてもらえただけで本当にありがたかった。
そして、言ったもん勝ち、のダンナにも大いに感謝した。
ホッとしていると、そこへ
次の種目に出る予定の娘の仲良しSちゃんが
泣きながらスタート台の方から戻って来た。
「やっぱり出たくない」。
実は、Sちゃんにとっては今日が初めての競技会。
家を出る時も「行きたくない」とかなり泣いたらしい。
いつもはちょっぴり態度の大きいSちゃんなのだが
やっぱりうちの娘と変わらない臆病な面もあるのね、
などと変に安心しながら
私もSちゃんのママと一緒に元気付けようとしたが、
Sちゃんは「いやだ。帰りたい」の一点張り。
「じゃあ、コーチのところに行っておいで。
コーチが一緒にどうするか考えてくれるよ」。
ここは信頼の厚いコーチに任せるしかない、と
ちょうどレースから戻って来た娘に付き添わせ、
コーチのもとに送り出した。
さっきはレースに出れないと大泣きした娘も
少し先輩顔でSちゃんの手を引っ張って行った。
いよいよSちゃんのレースの番だ。
「1コースのSさん、いませんか?
至急、スタート台に来てください」
と放送が流れる。
やっぱり無理か、と思った時、
Sちゃんがコーチと一緒にスタート台に現れた。
すぐにスタートの電子音が鳴り、
Sちゃんもみんなと一緒にプールに飛び込んだ。
よかった!
どんな話をしたか知らないが、やっぱりさすがコーチだ。
娘も、毎回、すべての種目の前と後に
コーチの元に行って指示を仰いだり
結果を報告をしたりしている。
記録が目的ではなく、
正しいフォームで心身の成長に伴った
無理のない泳ぎを身につけさせることが大事だと
いつも言っているコーチだが、
それが特に低学年の子どもたちからの信頼に
結びついているのかもしれない。
記録だけを目標にスパルタで特訓する
鬼コーチとは違うのだ、と
子どもながらに感じるのだろう。
思いもよらずたくさんの涙が流れた競技会だったが、
最後にはみんな笑顔で会場を後にした。
思い出に残る競技会になったなあ。。