先の記事を書いた翌日の7日、
ようやくバイデンの勝利がアナウンスされた。
その日の確定数字は覚えていないが、
今日11日現在の獲得選挙人数は右図の通りだ。
バイデン:290
トランプ:217
ちなみに、先に書いたような事情で、
開票率はまだ100%に達していないが
結果がひっくり返ることはないと推測されている。
この数字について簡単に触れておくと、
これは選挙人という、12月14日に最終的に大統領を選ぶ投票に参加する代理人の数で
週ごとに決まった数が割り当てられている。
実は、この仕組みがまた少し曲者で、
その割当がなんとも不公平なのである。
代表的な州の人口と選挙人の割当人数を見てみると、
・カリフォルニア:人口3950万人、割当選挙人55人
・オハイオ:人口1170万人、割当選挙人18人
・インディアナ:人口673万人、割当選挙人11人
・ミズーリ:人口614万人、割当選挙人10人
・サウスカロライナ:人口515万人、割当選挙人9人
・ケンタッキー:人口447万人、割当選挙人8人
となる。
カリフォルニアはバイデンの所属する民主党、
オハイオ以下はすべてトランプが所属する共和党の地盤であるが、
オハイオ〜ケンタッキーの人口の合計は3419万人と
カリフォルニアよりも500万人以上少ないにもかかわらず、
選挙人の合計数は57人とカリフォルニアのそれを上回っている。
カリフォルニアの住民からしたら
自分たちの民意が疎かにされているという感覚は否めない。
しかも、その州で最多数(実は、候補者は2人だけではない)を集めた候補者が
割り当てられた選挙人の数を総取りする仕組みのため、
獲得票数がどんなに拮抗していても
負けてしまっては選挙人獲得数はゼロとなる。
半分近い数の票が意味をなさないことになってしまうことも多々あるのだ。
これが『投票数の総計では勝ったのに、選挙人数では負けてしまう』
という、前回のクリントン vs. トランプ戦のような結果が出てしまう理由だ。
そんな事情もあって、投票日から4日間、
選挙結果を報じるニュース番組が表示する
中心部が共和党カラーの赤で塗りつぶされている
アメリカの地図を見るたびにヤキモキしたが、
どうやら今回はバイデンが選挙人数でも獲得票数でも
文句なしに勝利を収めたようだ。
なのに、、、、だ。
トランプはいまだに負けを認めるどころか
先に書いたように、不正をでっち上げて
あちこちの州を訴え始めた。
そして先ほど、そのうちの一つで
バイデンがリードするジョージア州が、
手動で票の数え直しを行う決定をしたという
ニュースが飛び込んできた。
所属政党とはいえ、
こんな独裁者をサポートし続ける共和党も共和党だ。
「そろそろ引き際でしょ」の一言をかける人が
誰もいないというのはどういうことなのだろうか?
この理由は、共和党の主な信条を改めて見てみるとよく分かる。
・税金のカット
・政府の関与の少ないフリーマーケット・資本主義
・移民の制限
・軍事力の強大化
・銃を持つ権利の保守
・中絶の禁止
・規制緩和と労働組合の規制
これを言い換えると、こうもとれる。
『規制も税金も減らし、お金持ちはよりお金持ちに。
白人男性のキリスト教信者が世の中を牛耳るのが当たり前。
これに異論を唱える奴は力づくでも黙らせろ』。
ちょっと乱暴だが、国内で起こっている事件や
共和党議員のコメントを見たり聞いたりしていると、
本気でそう思っている輩がいかに多いか分かってくる。
トランプはこの4年間で
もともとこんな思想を持っている人々の本性をあぶり出し、
それ以外の勢力や異なる思想を持つ人々との対立を深めてしまった。
そして、共和党は、トランプをうまく利用して
自分たちの主義主張をメインストリームに留めようとしたのだ。
バイデン指示の7700万人に対し、
トランプを支持した7200万人がそのような(またはそれに近い)思想を
持っているとしたら、これは恐ろしいことだ。
この4年間の破茶滅茶ぶりををもってしても
トランプにこれだけ票が集まっているというのは、
既得権者がその権利を何がなんでも守ろうとするあがきの現れなのだ。
そして、それがアメリカという国の現実なのだ。
きっと、女性かつアジア・南米系の副大統領候補
カマラ・ハリスが気に入らない、という有権者も多かっただろう。
バイデン大統領&ハリス副大統領新政権は
勝利を喜んでばかりはいられない。
これからの4年間は、いばらの道となることは間違いない。