月別アーカイブ: 7月 2020

Graduation パレード

標準

6月17日
新調したレモン柄のプリントの夏らしいドレスを着た娘は
ちょっと大人っぽく見える。

今日が彼女の小学校最後の日、卒業パレードが行われる。

家族3人でデコレーションをした車に乗り込み、
学校へ向かった。

久しぶりの学校の門の周りには
『2020年クラス、卒業おめでとう』
と書かれた垂れ幕や
青い風船で飾り立てられたアーチなどが用意されていて、
マスクをした先生やボランティアたちが
忙しく動き回っている。

パレードは、クラスごとにスタート地点と走行路が異なり、
それぞれのスタート地点に
11時に集合することになっていた。

開始時間の10分前だというのに
のんびりしたカリフォルニア・タイムのせいか
指定場所には私たち以外にまだ1家族しか来ていなかった。

派手に飾り立てた車の外で時間をつぶす私たちを見て
近所の人が
「これ、何の集まりなの?」
と聞いてきた。

「卒業パレードなんです」と言うと、
「おー、それは素敵なアイデアだね。
 外に出て見送ってあげるよ」
と言ってくれた。

そっか、学校の近所とはいえ、
みんながパレードのことを知っているわけじゃないんだ。
当たり前だけど。

などと考えているうちに、ようやく隊列が長くなってきた
(写真上)。

私たちは言われた通りに水性チョークで
車にコメントやイラストを精いっぱい散りばめたのだが、
ほかの車を見ると
車の上にユニコーンの形をした巨大な浮き輪を取り付けたり
「おめでとう」という文字をかたどった風船を浮かばせたり、
みんなそれぞれに工夫をして車に飾り付けをしていた。

さすがパーティー好きな国民だけある。
派手だと思っていたうちの車は
それほど目立たなかった。

娘のクラスはパレードの最後尾のため、
開始まで少し時間があった。

子どもたちは車を降りて、
マスクをしたまま微妙な距離を保ちつつ
久しぶりの再会を喜んでいた。

そして、トランシーバーを持った案内係の
「では出発です!」という合図をもとに
娘のクラスの隊列が移動し始めた。

卒業生は助手席にマスクをつけて乗り、
正門の前で校長先生から卒業証書とアルバム、記念品などを
受け取ることになっている。

娘のキンダーガーテン(1年生の前の学年)からの
担任の先生方が校門近くで
「おめでとう」などと書かれた看板を持って
パレードに手を振っているのが見えた(写真中)。

TK(キンダーガーテンの前の特別クラス)を含めると
7年もこの学校に通ったことになる。

お世話になったなあ。

私も、娘が入学して数年間は、
イベントのヘルプや担任のアシスタントとして
頻繁に教室に出入りしていたので
これが最後かと思うとちょっと寂しい。

スクールカラーのブルーのジャケットを着てマスクをつけた
校長先生が見えた。

窓越しに茶封筒に入った卒業の品を受け取ったら(写真下)
前進して同じくスクールカラーの
青い風船で飾られたアーチをくぐる。

そのあと、学校の周りを一回りしたらパレードは終了だ。

本当ならあちこちで先生やお友達、その保護者たちと
ハグのしっぱなしだったと思われる卒業式だが
そんな感動的な場面もなく
パレードはある意味、淡々と進んだ。

きっと、普通に卒業式をやるよりも
今回のパレードの準備の方が何倍も労力がかかったに違いない、と
思えるぐらいよく準備されていたが、
やっぱり娘は最後まで納得がいかないようで
「なんだ、これだけ?」とふてくされていた。

この不完全燃焼的な気持ちを
どうやって誰にぶつけたらいいのか分からないのだろう。

感傷的にならなくてすんだという意味では
私にとってはありがたかったが、
やっぱり最後にお友達や先生とゆっくり集うこともなく
小学校の思い出が尻切れとんぼのようになってしまったのは
かわいそうだった。

誰のせいでもないのだけど、
全世界で同じ気持ちを味わっている卒業生がいっぱいいるのだろうけど、
早くこの埋め合わせができる日が来ることを祈らずにはいられない。

こうして娘は歴史に残るパンデミックの中、
小学校を卒業した。

このブログのタイトルも〜娘はアメリカの中学生〜に
変える日が近い。。。

バーチャル卒業セレモニー

標準

6月16日
卒業パレードの前日、娘と一緒に
車のデコレーションをした。

このためにAmazon で買った水性チョークで
車の窓をお祝いのイラストやコメントで埋め尽くすのだ。

結婚式を挙げたばかりのカップルが
派手に落書きをした車でハネムーンに出かけるシーンを
映画などで見た覚えがあるが、
あれにはこの水性チョークというシロモノが使われていたんだなあ、
などと思いながら仕事に取り掛かった。

Congratulations! などはもちろんだが、
You did it! (よくやったね)、
Class of 2020(2020年卒業)、などのフレーズや
学校のマスコットのクマ、
紙ふぶきやリボンのイラストを
10色のチョークを娘と取り合いながら
あちこちに描いていく。

チョークとは言いながら、見た目はマーカーそのもの。
ペン先のフェルトの部分を押すと液体のインクが出てくるが
ガラスにペイントするとすぐに乾き、
ペーパータオルで拭くとポロポロと粉になって落ちるので
色が残ったりガラスを傷つける心配はなさそうだ。

運転席の前の部分だけを残して
ガラス窓というガラス窓を隙間なく埋め尽くすと
娘は満足したようだった。

その後、夕方6時からのバーチャル卒業式のために
いつもより少し早く夕食を済ませた。

そして6時。
テーブルにラップトップをセットアップして
家族3人でスタンバった。

録画ビデオを各家庭で見るだけなので、
後から考えるときっかりその時間でなくてもよかったのだが
やっぱり他の同級生もみんな一緒に見ていると思うと
少しセレモニーらしい気分になる。

校長先生の言葉、
生徒会長のスピーチのあと
科目ごとの優秀者に贈られるLanducci Award(アワード)の表彰があった。

Landucci Award は、この学区出身の歯科医Mr. Landucci の寄付によって
創設された基金による奨学金で、
学区内の小中学校それぞれの卒業生の中から
算数や理科などの科目や校内活動などいくつかの領域に
数名ずつが選ばれるらしい。

なんと、うちの娘はScience(理科)で名前を呼ばれた。

「Science、得意だったっけ?」と不思議顔のダンナと私に、
「私のレポートは、いつも図解が上手だってほめられてたからね」
と、したり顔の娘。

まあ、どんな理由であれ
Award を受賞しただけであっぱれ、と素直に喜ぶことにした。

Award 表彰の後は担任による卒業生の紹介。

宿題になっていた自己紹介のスライド
ここで披露されるのだ。

スライドには
各自が書き込んだクラスメートへのコメントに
担任からの本人へのコメントが追加されていた。

「xx君は(さんは)〜な性格で、
クラスメートたちはxx君(さん)のことを〜と思っています」と、
本人の人となりが先生とクラスメートの目から語られている。

娘の学年には100人弱の同級生がいるが、
「この子、x年生の時、同じクラスだったなあ」とか
「大人っぽくなったねえ」とか言いながら見ていたら
あっという間に終わってしまった。

これでバーチャルセレモニーは終了。

校長や生徒会長がともに
「パンデミックによって困難や失望、不満と向き合い
それにどう対処するかという人生における大事なライフスキルを学んでいる」
という内容のコメントをしていたのが印象的だった。

Shelter in Place が導入されて3ヶ月。
ライフスキルで乗り切れるうちはいいが
夏休み、新学期、と困難や失望が継続しそうな気配の中、
アカデミックの進度や心身の健康への影響が気になり始めている。